書道や水墨画に欠かせない「墨」。大きく分けて固形墨と墨液の2種類がありますが、それぞれに違った特徴があります。
本記事では、成分・使い方・保存方法まで詳しく解説します!
1. 固形墨と墨液の基本的な違い
項目 | 固形墨 | 墨液 |
---|---|---|
形状 | 固体 | 液体 |
使い方 | 水を加えて磨る | そのまま使える |
発色の変化 | 時間が経つと深みが増す | 一定の色合い |
筆運び | なめらかで味わい深い | 均一で安定した書き心地 |
速乾性 | やや乾きにくい | 速く乾く |
保存期間 | 適切に保存すれば半永久的に使用可能 | 開封後1〜3年程度 |
用途 | 本格的な書道や作品制作 | 練習や手軽な使用 |
2. 成分の違い
● 固形墨の成分
- 煤(すす):松煙(松を燃やした煤)や油煙(植物油を燃やした煤)
- 膠(にかわ):動物性ゼラチン質で煤を固める役割
- 香料・保存剤(伝統製法では少量)
▶ 水ですると煤の微粒子が均一に広がり、味わい深い墨色が生まれる。
基本的に煙突掃除などで出る煤に膠を加えてこねたものが墨になる。
● 墨液の成分
- 煤(すす)またはカーボンブラック(人工的な炭素顔料)
- 糊剤(接着成分):膠の代わりに**合成樹脂(アクリル樹脂など)**を使用
- 防腐剤・界面活性剤:液体の状態を保ち、保存性を高めるため
- 水分:液状にするために含まれる
▶ 合成樹脂を使うことで保存しやすく、速乾性や耐水性が向上するが、発色の深みは固形墨に劣ることがある。
3. 墨液に合成樹脂が使われる理由
多くの墨液には、膠の代わりに合成樹脂(アクリル樹脂など)が使用されています。
✅ 理由1:膠は腐りやすく、液体では劣化しやすいため、保存性を向上させるため
✅ 理由2:乾燥が早くなり、紙にしっかり定着する(耐水性アップ)
✅ 理由3:品質を均一に保ち、すぐに使える利便性を確保するため
ただし、膠を使った本格派の墨液もあり、より固形墨に近い仕上がりが得られます。
4. 保存期間と保管方法
● 固形墨の保存
- 半永久的に使用可能(適切に保管すれば100年以上使えることも!)
- 保存のコツ:
- 風通しの良い場所で保管(桐箱などに入れると理想的)
- 湿気を避ける(カビ防止)
- 直射日光を避ける(乾燥しすぎるとヒビ割れの原因に)
気温30℃前後の湿度の高い所に放置するとカビが生えてしまう事もあるので要注意です。
● 墨液の保存
- 未開封なら数年~10年、開封後は1~3年が目安
- 保存のコツ:
- キャップをしっかり閉める(空気に触れると変質する)
- 直射日光や高温を避ける(劣化防止)
- 定期的に振る(成分の沈殿を防ぐ)
5. どちらを選ぶべき?
目的 | おすすめの墨 |
---|---|
本格的な書道・作品制作 | 固形墨(発色の深みと筆運びの良さ) |
手軽に書きたい・練習用 | 墨液(すぐに使えて便利) |
耐水性が欲しい | 合成樹脂入り墨液(にじみにくい) |
伝統的な質感を求める | 膠を使用した墨液 |
6. まとめ
✅ 固形墨は伝統的な書道や作品制作向きで、長期保存可能。
✅ 墨液は手軽に使え、速乾性や耐水性が高いが、劣化しやすい。
✅ 多くの墨液には合成樹脂が含まれるが、膠を使用したものもある。
✅ 用途に合わせて選ぶのが大切!
書道の楽しみ方や目的に応じて、自分に合った墨を選んでみてくださいね!
ではでは(^ω^)ノシ
この記事もおすすめ
油性ペンの落とし方ノート表紙についたマジック汚れなどをきれいに消すには?材質別に紹介。