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刀で人を斬ると脂で切れなくなるというデマに対して考察

日本刀で人を斬るとすぐに血脂が巻いて斬れなくなる

2~3人も斬れば使い物にならなくなるという話がまことしやかに話されていますが

これに筆者は疑問を感じています。

 

 

まず、一つのギモンは

 

それが本当なら槍とか薙刀でも同じじゃない

という事です。

 

もっと言えば他の国で使われている剣や刀だって同じじゃない?

 

 

刃物に脂がついて斬れなくなるというなら槍だって薙刀だって同じはず

だけど、日本刀はすぐに使えなくなるから槍を使っていたみたいな言い方をするのも問題だろう。

 

 

そもそも、そんな使えない武器を大事にするというのは合理性に欠ける。

当たり前だが刃物というのは消耗品です。

だが包丁などの刃物も消耗品だと思われるが

 

 

すぐに刃こぼれするとか刃が潰れてしまうというのは焼入れをしていない柔らかい鉄くらいしか考えつかない

例えば、ひき肉を作るミンサー、工場などで使われているものがすぐに切れなくなるという事はありません。

ミンサーの刃がすぐに切れなくなって一時間に一回は交換しなくちゃみたいな話は聞いた事がありません。

 

 

レストランで1日中、使われている包丁であっても仕事終わりに研ぐくらいで急激な変化はないだろう。

すぐに使えなくなる可能性としては骨とか鉄よりも硬いものを斬った場合です。

 

 

 

血脂が巻いて斬れなくなる→拭けばいいだろ

この理屈が正しいとして血脂がついてなら布で拭えばいい

単純に脂を取り除けば斬れるようになるというならそれでいいだろうという話だ。

 

脂がついたら多少は斬れ味が落ちるかもしれないが布で拭えばいい

 

血がついたまま納刀すると血で鋼が錆びてしまうため使ったらお手入れしないといけない

だから使った後は血を拭って研いだりもしただろうけど

 

実際の戦闘ではいちいちそこまでしていないだろうし

 

 

 

血と脂で本当に斬れなくなる?

実際問題、人を斬ったりする事がない

『陸軍戸山流で検証する日本刀真剣斬り』という書籍では戸山流居合連盟会長の籏谷先生が実験を行っている

 

曰く「豚の頭を何度も斬って脂だらけにした刀身でも)日本刀の機能には何の差し支えもない」

 

元々、油を塗って錆びないようにしているしそれで斬れなくなるというのは筆者なんかは柄まで脂まみれで滑っているだけではと思ってしまう(個人の感想)

刃筋が滑って立てられないみたいな

 

さらに言えば江戸時代では死体を使った試し斬りが頻繁に行われており

1日に9回の試し斬りが行われているという記述もあったりする。

この時点で2~3人を斬ったらというのは嘘になる。

 

 

もちろん試し斬りをするような日本刀は基本的に名刀であり出来が良い

数打ち(量産品)ではない

 

『図説日本刀大全』によると天保8年(西暦1837年)8月21日、伊賀四郎左衛門が新々刀(江戸後期に作られた刀)で9回の試し斬りをした

内容は頭を正面から両断したのが4回、頭を輪切りにしたのが4回、腰を横に真っ二つにしたのが1回とされる

 

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こうやって書かれているのを読む限り日本刀が2~3人(鎧なし)を斬ったら使い物にならないというのは信憑性が薄くなる

 

 

刃物の性能が極端に落ちる事はない

きちんと作った刃物であれば極端に性能が落ちる事はない

日本刀の場合ならきちんと折り返し鍛錬を行い

ハマグリ刃で刃をつけてきちんと熱処理をしているなら問題はない

 

粗製乱造された軍刀などは当たり外れがあるようです。

使われている鉄や熱処理方法などがきちんとしていれば日本刀は2~3人斬ってたら使えないというのはありえない

 

 

世界各国で剣や刀があるけどそんな話は聞こえてこない

例えば中世の騎士が使っているロングソードは人間を2~3人斬ったら血脂で斬れなくなる

なんて事はない。

 

剣や刀はそれ自体の重さと使用者が振るうスピードがあれば多少の刃こぼれは関係ないくらいだろう。

 

なぜそのようなデマが始まったのだろうか?

一説には評論家の山本七平氏が戦時中の試し斬りをした時の感想を作家の司馬遼太郎氏が自身の作品中に書いたためという説がある

つまり、質の悪い軍刀で試し斬りをした結果を普通の日本刀に当てはめた可能性がある。

 

 

1人の男が試し斬り(量産品の刀)をした結果が小説で採用されたという話だ

全く度し難いフィクションがいつの間にか真実のように独り歩きを始めた形だろう。

 

確かに包丁でも脂がついたら多少は斬れ味が落ちるけれど、拭けばいいだろ

それがなぜか日本刀はすぐに血脂が巻いて斬れなくなるになってしまったのか不明だ。

 

安い日本刀であれば鎧を着た武者と戦えば刃こぼれしたり曲がったりはしただろ

しかし人間を斬る、素肌を斬るならそこまで斬れ味は落ちない

 

 

まとめ

日本刀は2~3人斬ったら斬れなくなるというのはデマ、誇張表現である

 

理由としては

  • 槍や薙刀などではそんな話は聞かない
  • 血脂とか拭けばいいだろという感想
  • 江戸時代には試し斬りの記録がたくさんあり死体ではあるが何人も斬っている
  • 司馬遼太郎の小説が元ネタである可能性

 

こんな感じでしょうか

フィクションと現実がごっちゃになった結果ではないだろうか?

筆者も祖父から譲り受けた日本刀(刃引きされている)を振り回したがうっかり

椅子の合皮を斬ってしまった経験がある

 

 

多少の刃引きしてあろうと日本刀や剣というのは斬れる

脂のせいで斬れなくなるとか武器として使い物にならんものがここまで重宝されてしない

 

 

ではでは(^ω^)ノシ

 

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