酸素って、あの空気に含まれる普通の酸素のこと?
そう、あの酸素です。
実は酸素は、磁石に引き寄せられる性質を持っているってご存じでしたか?
普通の酸素も実は磁石に反応しています。
ですが力が弱くて気が付かない
実は磁石に反応する物体は多い
しかし、よわ~く引き寄せるかよわ~く反発するかで人間の感覚では分からないレベルです。
この記事では、
液体酸素が磁石に「くっつく」理由
普通の酸素(気体)も磁石に反応するのか?
そもそも酸素が磁石に引かれる本当の理由
などを、できるだけわかりやすく解説します!
液体酸素が磁石に引き寄せられるってホント?
はい、本当です!
液体酸素を強力な磁石の近くに持っていくと、ピタッと吸い寄せられてぶら下がるような動きを見せます。これは一見すると「磁石にくっついた」と思えるくらいです。
この現象の正体は、「常磁性(じょうじせい)」という性質にあります。
常磁性ってなに?
常磁性とは、外部から磁石を近づけたときに引き寄せられる性質のことです。
これは、その物質の中に不対電子(ふついでんし)があるかどうかで決まります。
不対電子とは?
電子は基本的に2個1組でペアになって安定するのですが、ペアにならずに1個で存在している電子がいます。
これを「不対電子」と言い、小さな磁石のような性質(スピン)を持っています。
この不対電子が磁石に反応することで、物質が磁石に引き寄せられるのです。
酸素分子(O₂)はなぜ常磁性なのか?
酸素分子は、2つの酸素原子からできています。電子を数えていくと、全部で16個。
この電子たちは「分子軌道」というエリアに入っていくのですが、最後の「π*軌道」という場所に不対電子が2個あります。
つまり、酸素分子(O₂)は不対電子を持っているため、常磁性なんです!
不対電子がある → 常磁性 → 磁石に引き寄せられる
液体酸素はなぜ磁石に「強く」反応するの?
ここがポイントです。
気体の酸素も常磁性ではありますが、反応は非常に弱くて見えません。
一方で、酸素を-183℃まで冷やして液体酸素にすると…
分子がぎっしり詰まって密度が高くなる
分子の動きが遅くなり、磁石の力を受けやすくなる
結果として、磁石に目に見えて引き寄せられる!
だから、液体酸素は「磁石にくっついているように見える」んです。
️ 普通の酸素(気体)も磁石に反応する?
実は、気体の酸素も常磁性なので磁石に反応します!
ただし、反応は非常に微弱で、目では確認できないレベルです。
実験装置や強力な電磁石を使えば、その動きを観察することは可能ですが、日常生活で感じることはまずありません。
まとめ
状態 | 不対電子 | 磁石への反応 | 備考 |
---|---|---|---|
気体の酸素 | あり(2個) | 反応するが非常に弱い | 肉眼ではほぼ見えない |
液体の酸素 | あり(2個) | はっきり引き寄せられる | 実験でよく使われる現象 |
もっと知りたい方へ
酸素の常磁性は、量子力学的な電子配置の特徴によるものです。
似たような性質は、一部の金属イオンや有機ラジカルなどにも見られます。
日常生活では見えにくい「電子のスピン」や「分子軌道」の世界が、ここにちらっと顔を出しているのです。
科学って、目に見えないことが見えるようになると一気に面白くなりますよね。
液体酸素と磁石の関係は、そんな「見える化」された量子の世界のひとつです。
次に磁石を手にしたときは、空気中の酸素がほんのちょっとだけ引き寄せられていることを思い出してみてください!
ではでは(^ω^)ノシ
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