【ポマト】細胞融合が生んだ幻の作物と、その後の進化
植物の世界には、異なる種を組み合わせて新しい作物を生み出す技術があります。
その代表例が「ポマト(Pomato)」です。ポマトは、ジャガイモ(Potato)とトマト(Tomato)を融合させた植物ですが、その作り方には「細胞融合」と「接ぎ木」の2種類があります。
この記事では、ポマトの歴史と技術、そして現在実用化されている「ジャガトマ」について詳しく解説します。
細胞融合によるポマトとは?
ポマトの誕生
ポマト(細胞融合)は、1978年にドイツのマックス・プランク研究所のゲオルク・メルヒャーズ博士によって開発されました。
彼の研究の目的は、暖地性のトマトにジャガイモの耐寒性を持たせ、より強い植物を作ることでした。
しかし、実際に作られたポマトは、地上部はトマトとは異なる奇妙な葉をつけ、地下部もジャガイモらしからぬ細長い根が伸びるだけで、実用的な作物にはなりませんでした。
細胞融合とは?
細胞融合とは、異なる植物の細胞をくっつけて新しい細胞を作る技術です。
- 細胞の壁を取り除く(酵素を使って細胞壁を分解し、「プロトプラスト」という状態にする)
- 細胞を融合させる(化学物質や電気ショックを使って融合)
- 新しい細胞を育てる(細胞を培養し、植物に成長させる)
この方法なら、通常の交配では不可能な植物同士を組み合わせることができます。
しかし、遠縁の植物同士では、染色体の異常や成長不良が起こりやすいため、実用化は難しいとされてきました。
なぜポマト(細胞融合)は普及しなかったのか?
ポマトは一時的に注目されましたが、以下の理由で実用化されませんでした。
- 成長が不安定(トマトの実もジャガイモの芋もほとんどならなかった)
- 遺伝子の相性が悪く、うまく融合しなかった
- 収穫量が少なく、商業的にメリットがなかった
- 1994年に遺伝子組み換え技術が登場し、細胞融合技術が影を潜めた
こうして、細胞融合によるポマトは**「実験の産物」**として終わってしまったのです。
接ぎ木によるポマト(ジャガトマ)とは?
細胞融合のポマトは失敗に終わりましたが、その後登場したのが、「ジャガトマ(TomTato)」という接ぎ木で作られたポマトです。
接ぎ木とは?
接ぎ木とは、異なる植物を物理的にくっつけて、一体化させる技術です。
- ジャガイモの茎の上部を切り落とす
- トマトの茎を切り取り、ジャガイモにくっつける
- 「維管束(いかんそく)」と呼ばれる水や栄養を運ぶ管をつなげる
- 固定して育てると、一つの植物として成長する
この方法なら、地下にはジャガイモができ、地上にはトマトが実るという夢のような植物が誕生します。
ジャガトマは実用化されたのか?
1977年にソ連で最初の実験が行われ、その後イギリスのThompson & Morgan社が2013年に「TomTato」として商業化しました。
ジャガトマは、ポマト(細胞融合)とは違い、普通にトマトの実がつき、ジャガイモの収穫も可能です。
現在でも一部の家庭菜園や実験農場で栽培されており、「家庭菜園で二つの野菜を育てたい人」に人気があります。
ポマト(細胞融合)とジャガトマ(接ぎ木)の違い
ポマト(細胞融合) | ジャガトマ(接ぎ木) | |
---|---|---|
作り方 | 細胞融合(遺伝子レベルで1つ) | 接ぎ木(物理的に接合) |
開発年 | 1978年(ドイツ) | 1977年(ソ連)、2013年に商業化 |
地上の作物 | 葉はできるがトマトはほぼならない | 通常のトマトが収穫できる |
地下の作物 | 細長い根が伸びるだけでジャガイモにならない | ジャガイモが収穫できる |
実用化 | ほぼされなかった | 一部で商業化され、家庭菜園向けに販売 |
メリット | 遺伝子を融合できる可能性 | 簡単に作れて育てやすい |
デメリット | 成長が不安定で収穫量が少ない | 接ぎ木の管理が必要 |
まとめ:ポマトの進化と未来
ポマト(細胞融合)は、異なる植物を組み合わせる新しい技術の試みでした。
しかし、成長の不安定さや収穫量の低さから、実用化されることはありませんでした。
その代わり、「ジャガトマ(TomTato)」として接ぎ木技術が発展し、現在では実際に栽培が可能になっています。
特に家庭菜園向けとして人気があり、限られたスペースで**「1本の植物からトマトとジャガイモを両方収穫する」**ことができるのが魅力です。
今後、バイオテクノロジーの進化によって、より効率的な作物が開発されるかもしれません。ポマトのような**「夢の作物」**が、未来の農業を変える日が来るかもしれませんね!
参考サイト:
ポテト博物館 - ポマトについて
安定さや収穫量の低さから、実用化されることはありませんでした**。
その代わり、「ジャガトマ(TomTato)」として接ぎ木技術が発展し、現在では実際に栽培が可能になっています。
特に家庭菜園向けとして人気があり、限られたスペースで**「1本の植物からトマトとジャガイモを両方収穫する」**ことができるのが魅力です。
今後、バイオテクノロジーの進化によって、より効率的な作物が開発されるかもしれません。
ポマトのような**「夢の作物」**が、未来の農業を変える日が来るかもしれませんね!
ではでは(^ω^)ノシ
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