ロシアのお酒といえばウォッカを思い浮かべる人がいると思うが実のところ
昔、禁酒法をやったために代用酒の文化が根付いてしまったのだという。
2016年に入浴剤を飲んで49人がロシアで無くなったというニュースを聞いた時は
何を考えているのかと思ったものです。
ロシアでは工業用のアルコールを飲んでしまう人がいるようです。
工業用のアルコール、メチルアルコールは飲んではいけないものです。
目散るアルコールとおぼえておきましょう。
詳しくはメタノールとエタノールの違いを調べたらメタノールは絶対に飲んじゃダメだってわかった。を読んで欲しい
なぜ、ロシアで代用酒が流行ったかというときっかけは禁酒令が実施された事による
禁酒法というとアメリカな印象だけど古代から度々、人類は禁酒法を施行している。
この記事を読み終わる頃には入浴剤なら普通な気がしてくるから
いい感じで気持ち悪くなれるぞ!
禁酒令とは?
ロシアでは禁酒令が発布された事がある。
アルコール飲料を取り締まる奢侈禁止令の事。
通常はアルコール飲料の製造、輸送・輸出・輸入・販売を制限したり禁止する法律
※奢侈禁止令とは贅沢禁止令の事で倹約を推奨・強制するための法令および命令の一群
イスラム世界にも、イスラーム法でアルコール飲料を取り締まり厳格さは
国や時代によってかなり幅がある。
禁酒令自体は古代からあって紀元前2200年前の中華大陸最古と言われる夏王朝の禹王によるものと伝えられている。
記録に残っているものだと紀元前1100年前の古代エジプトのものが記録に残っている最古の禁酒令と言われてます
他にも古代ギリシャやローマでも発令されている。
ロシア帝国では
1914年に限定的な禁酒令が導入される。
それがロシア革命・ロシア内戦の混乱期後もロシア・ソビエト連邦社会主義共和国、ソビエト連邦時代を通して
1925年まで維持された。
約10年間、酒好きのロシア人は大で振って酒が飲めなかった。
アルコールが飲めないため、アルコールが入っているけどアルコール飲料に分類されない
微アルコール飲料に目をつけた。
19世紀ごろ、微アルコール性飲料であるクワスはモルスやレモネードなどの他の果汁飲料に押されて
存在感が薄かったんだけど
禁酒令の対象外になったから注目を集め始めた。
クワスとは?
ライ麦と麦芽を発酵させて作るもので
各家庭にあるライ麦パンと酵母でお手軽に作れる飲料
クワスをパン種にしてパン生地を練ってパンを焼く事もある。
ロシアではクワスは夏の風物詩になっている冬でも飲めるけど
レシピが違うから明確に味が違うんだとか
アルコール度数は1~2.5%でウクライナ、ベラルーシ、ロシアではアルコール飲料じゃなくてジュース扱い。
ソ連時代には大規模な工場でクワスが作られていたから自動販売機でクワスが販売されていた。
ロシア人は酒が好き過ぎで勤務時間中も酔ってた
禁酒令撤廃後は勤務時間中も飲酒するなどの問題が起きた。
酔っ払って仕事なんて生産性が落ちるしトラブルや事故の元になる
だから、当時の社会問題でした。
過度の飲酒は西側(資本主義国)と比較して平均寿命が著しく低い一因とされた。
1985年にミハイル・ゴルバチョフ共産党書記長が酒類の生産制限と価格引き上げを行ったんだけど。
当然、不評だった。
庶民が家で密造酒、密造ウォッカを作るために大量の砂糖が買い占められて品不足状態になった。
政府も酒税が減少した事で財政難になったそうです。
ソ連の人はめちゃくちゃお酒を飲んだ、今のロシアもそうだけど
アルコールの年間摂取量を日本とロシアで比較したら
一人あたりの摂取量が日本人の4倍以上もあったそうです。
この傾向は現代でも変わらず、ビールとかを飲みまくっているそうです。
ロシアってウォッカのイメージだったから意外
アルコールの年間摂取量を調べた時に日本ではブランデー類とかスピリッツ類、果実酒類なんておおまかな区分で調べたものらしいんだけど
ロシアではブランデーはコニャックだけ、スピリッツはウォッカ、果実酒はワインと単品目しか調べてない。
それでも日本人の4倍、他のお酒も調べたら摂取量は跳ね上がる事、間違いなしですね。
禁酒法が施行されたのが1985年の話、
法令名は【酔っぱらいとアルコール中毒の克服に関する措置】スローガンは
трезвость - это нормально「しらふが正常」
当たり前に感じるけど、当時のソ連じゃ酔っ払った状態で仕事に来るやつが多かった。
二日酔いで仕事に来る人は珍しくないが酔っ払って仕事するのは確かにやばいよな。
禁酒法と言ってもアルコールを完全に禁止したわけじゃなくて販売数を制限して値段を上げただけなんだけど
とは言え、値段が高くなればお酒を飲み続けられない
そこで生まれたのがサマゴン
サマゴンとは?
サマゴンとはロシア語でсам(自分)でHatb(蒸留する)という言葉から
Самагон(サマゴン)と呼ばれていて、いわゆる密造という言葉に当てはまる。
そう、禁酒法あるある密造酒です。
簡単なものは砂糖とイースト菌でアルコールを作り、単式蒸留器で蒸留する方法。
少し凝ったものになればジャムとかを使うしきっちり作る人はライ麦とか小麦、じゃがいもなどの穀物を使う
ロシアではサマゴンが横行する時代が2回あった
- ロシアの禁酒法時代
- 1985年 ミハイル.ゴルバチョフの節酒法令
1914年から1925年にかけて酒の飲みすぎによって男性の平均寿命の短さ、倫理の低下、精神疾患が増えて
社会問題になったためにロシア革命が起きてソ連になった1922年以降も引き継がれた
段階的にビールやワインは許可されたけど、ウォッカは最後まで禁制だった
財政が圧迫して撤廃する事になった。
二度目はミハイル.ゴルバチョフ共産党書記長による禁酒法・・・ではなく正確には節酒法令
前回の禁酒法と同じ理由で施行されたけど、やっぱり財政を圧迫を招き、ソ連崩壊後に撤廃されました。
この2つの時代は、砂糖が不足するほどのサマゴンブームになる。
手に入らなきゃ作る!という断固として酒を飲むという鋼鉄の意思を感じますね
とは言えサマゴン以外にもアルコールを摂取していた。
サマゴン以外に代用酒を摂取
サマゴン以外でアルコールをなんとかして摂取しようと涙ぐましいというよりもイカれた努力をしている(個人の感想)
いろいろなアルコールを飲んでいた
工業用アルコール(飲んではいけない)
まず、工業用アルコール
食用ではなく工業用アルコールも飲んでいた。
ウォッカと同じくらい人気のある【漢】の飲み物。
※絶対に真似してはいけません
飲み方はまず工業用アルコールに火をつけて炎の色が最初は赤とかオレンジなんだけど
青に変わる、青に変わったら飲んでいいいと言われていた。
味はケロシンとアルコール、アセトンとインクらしい
きっと夢に出るような味なんだろう、知らんけど
工業用アルコール500ccに卵黄を入れて振るとケロシンとアセトンが底に沈むから上澄みが飲める
という理屈らしい
ソ連時代にはウォッカと二分するほどの人気があるくらいポピュラーな飲み物
オーデコロン(毒)
ナンバーワンのニセアルコールで度数は64%
1番人気があった商品は「トリプル」というオーデコロン
理由は一番、安かったから
ピオネールキャンプ・・・ボーイスカウトキャンプのようなもので親が子供に虫除けとして持たせていたもの
そこで多くの人が初めて飲んだ。
ボーイスカウトのキャンプで!オーデコロンを飲む
それも1本を一気飲みするのが作法なんだとか
副作用はないみたい(当時の人がそう言ってただけ)
モスクワにあるウォッカ博物館にオーデコロンが展示されていたらしい
サンザシキンチ
サンザシというバラ科の植物のチンキで、アル中だけじゃなくても学生にも人気があった。
薬局で安く購入できるから気軽に飲用できるのがポイントらしい
薬局で気軽に買えるからと言って飲んでいいとはどこにも書いていないし。
割らずにストレートで飲むんだけど、他にも足の汗を防ぐ薬とか薬局で買って飲んでいた。
現代の感覚だと制汗剤を飲むみたいなもんか、気持ちわりー
きゅうりローション
きゅうりローションは化粧品売場で販売されていたもので
酒とおつまみが同じボトルに入っていると人気になった。
味はめちゃくちゃ不味かったらしい
水で割って飲むんだけど、酸いも甘いも噛み分ける経験豊富なアル中は
火で炙ったナイフをコップに移したローションに突っ込んで飲んでたみたい
このきゅうりローションについてはアネクドート、ロシアンジョークもある。
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男が化粧品売場に来た。「きゅうりローションを4本ください」
店員から瓶を渡された男が言った。
男「なんでラベルがないの?」
店員「ラベルなくてもどうでもいいんじゃないの?」
男「あなたはどうでもいいかも知れないけど、俺だって客のために食卓に出すんだからさ!」
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・・・・・そのまま出していたのか?
ポリッシュ
木製の商品に艶出しするために使われるもの
100g~300gを一気飲みするのが作法
木の艶出しに使うものを一気飲みするのが正しい作法って時点で頭がおかしい
よく飲んでいる人は皮膚が紫色になるから「ナス」なんて呼ばれていたらしい
そのまま飲んでもいい(良くない)、当たり前だけど毒性があるからいろいろなアルコール分離法が確立された。
例えば冬は凍らせてアルコールと毒を分離させる方法だったり
夏は容器に中に塩を振ると蝋が塩にくっついて沈むから残った液体を飲んでいた。
他にもパンや牛乳、炭を使った方法もある。
多岐にわたってアルコールの分離法がある。
だから「ロシアではプーシキンがどうやって死んだかを誰も知らないが、ポリッシュをどのように濾せばいいのかなら誰でも分かる」
というロシアンジョークまである。
ジクロルボス
正しくはジクロルボスという薬品で作られた殺虫剤の事
ビールに入れると【3回】っていうカクテルになるらしい
たくさん飲むと毒性が強くて死ぬから全国民から愛されていたわけじゃないけど
接着剤
ついに液体とは言い難い物体にまで派生したな
接着剤200gに水を1.5カップと小さじ1の塩を入れてから5~10分シェイクすると
アルコール度数30%の飲み物が完成する。
欠点は接着剤の臭いきつい事
靴クリーム
最後の手段、何もない時に飲むのが靴クリーム
パンに靴クリームを塗ってしばらく放置
そうすると靴クリームのアルコール分がパンに染み込んでくる
頃合いを見計らってパンから靴クリームを削ぎ落としてパンを食べる
・・・・ここまでしてアルコールを摂取したいとはおそロシア
当時の反応
[speech_bubble type="std" subtype="L1" icon="1.jpg" name="ロシア人"] オーデコロンを飲んだことがある、名前は覚えていないけど、ダメだった口直しに飲んだり食べたりしたけど、やっぱり吐いた [/speech_bubble]
[speech_bubble type="std" subtype="L1" icon="1.jpg" name="ロシア人"] 俺はオーデコロンを飲んだ事がある、砂糖を入れてた、その方が飲みやすかった [/speech_bubble]
[speech_bubble type="std" subtype="L1" icon="1.jpg" name="ロシア人"] そのまま飲んでたの?ダメだろ!まずは中にゆで卵を入れろ。卵が毒性のものを吸収してくれる [/speech_bubble]
[speech_bubble type="std" subtype="L1" icon="1.jpg" name="ロシア人"] 飲んだもので一番、酷かったのは、鳥糞を漬けたサマゴンにジクロルボスを数滴 [/speech_bubble]
最近はそんなことはないと思いきや2016年に東シベリアのイルクーツクで、アルコールの入った入浴剤を飲んで次々と中毒死した事件が起きてる
30日までに死者が72人に達し、政府は安価なアルコール含有品の規制に本腰を入れる構えを見せている。
代用酒での死者が年間
ロシアでは代用酒が原因で死亡する人が年間1万4000人以上いてアルコール依存や貧困などの
根本的な解決が急務になっている。
どうして代用酒を飲むのか理由は分からないけど、入浴剤の事件はたまたま死者が多数出たから注目されただけ
ロシアではアルコールに植物を浸した「薬用酒」やアルコールを含む化粧品なんかを酒の代用品として消費する事が横行している
代用酒による2005年の中毒死者は1万4250人にのぼり
識者からは「テロよりも深刻な話だ」
「民族的虐殺に等しい」という懸念の声が出ています。
ロシアのお酒にまつわる逸話
- サーカス団が象にウォッカを飲ます
- 水よりウォッカの消費量の方が多い
- 男の平均寿命が女の平均寿命より10年短い(アルコール依存症が原因)
- 死亡原因の30%はアルコール依存症に関連している
- 現在、アルコール度数の低いビールを国をあげて推奨している
- 2011年にビールがアルコール飲料に分類される(以前はソフトドリンク扱い)
- アルコール依存症の人は300万人
- ロシアの死因は4分の1は飲酒関連
- 片手にウォッカ、片手に黒パンを持ち、ウォッカを一気に飲み干してから黒パンを顔にあてて香りを嗅いでから一口かじると二日酔いにならないと言われている
- ただし、ロシア人は基本的に泥酔するまで飲むので意味はない
- 黒パンがない時は自分の腋の臭いを嗅げばいい
- 戦時中に戦車の不凍液まで飲む、結果として戦車が故障しまくる
- 二次大戦中は戦車兵に一日100ccのウォッカを支給したが少ないと不満が続出
- イスラム教が布教されるも教えに「禁酒」があるため一部を除いて広まらず
- 「ロシアとはロシア人が住んでいる土地のことではない。ウォッカがおいてあるところがロシアである。」
- 風邪を引いた時は薬草入りのウォッカを飲んで寝ると治ると固く信じている。(胡椒を入れて大量に飲み何重もの毛布に包まって寝るという民間療法)ロシア人以外は実践してはいけない
- 某ロシア小説「お前酒飲んでただろ」「はぁ、薬酒ですが」ってシーンがある
- ハンガリーの反ソ運動鎮圧で大量の亡命者が出た時に「酒をバッグに入れろ。ソ連兵に見つかった時にパスポート代わりになるから」という噂がたった
- 宇宙飛行中は飲酒禁止だがウォッカ持ち込んだロシア人宇宙飛行士がいた。
- ロシアでは大親友を指す際「とても大量のウォッカを共に飲んだ仲」という慣用句がある。
- ことわざで「仲間と一緒にウォッカを飲むとお互いの心と心が触れ合い、心がウォッカのように透明になる」というのがある。
現代でも代用酒の問題は続いている
ロシアの代用酒というのは昔の話ではなく現代でも被害者が出ている
2016年、産経新聞の記事によると
年1万人以上が死亡しているそうです。
入浴剤を飲んで死亡したという事件を記事にしている。
まとめ
ロシアの代用酒について書いたけど
・・・・・・・・おそロシア
酒に関する執着がやべぇ
ウォッカの国は伊達じゃないな
サマゴン辺りまでよくあると思ったけど
- 工業用アルコール
- オーデコロン
- サンザシチンキ
- きゅうりローション
- ポリッシュ
- ジクロルボス
- 接着剤
- 靴クリーム
ブログ記事を書いていて気持ち悪くなったのは初めて。
歴史的な背景があるとはいえ、ここまでアルコールに執着するのはやはり民族性ってやつなのか?
一ミリも理解できないけど
ロシア人へのお土産でとりあえず安い焼酎を持ってたら喜ばれそう。
家人が飲まなくても使いみちはあるだろうし
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