世界最強の酸は硫酸のなんと1000垓倍以上だと言われています
硫酸も危険な液体ですがその1000垓倍というのは想像を絶しますね。
最強の酸ランキング
酸の強さは 酸の解離定数(pKa) や プロトン供与能力 によって評価されます。
1位:フルオロアンチモン酸(HSbF₆)
pKa ≈ -31
史上最強の酸! フッ化アンチモン(SbF₅)とフッ化水素(HF)の混合で作られるスーパーアシッドで、どんな有機物でもプロトン化できるほどの強力な酸性を持ちます。
金属はもちろんガラスも溶かします。
2位:カロスター酸(H(CB₁₁Cl₁₁))
pKa ≈ -18
驚異的な酸性を持ちながらも、酸としての安定性が非常に高いのが特徴です。
3位:フルオロスルホン酸(FSO₃H)
pKa ≈ -15
硫酸(H₂SO₄)より1000倍以上強い酸!
4位:マジック酸(FSO₃H + SbF₅)
pKa ≈ -19
フルオロスルホン酸(FSO₃H)と五フッ化アンチモン(SbF₅)の混合で作られた超酸。炭化水素すらプロトン化する驚異的な酸性を持ちます。
6位:王水(HNO₃ + HCl)
pKa ≈ -1
貴金属を溶かす能力を持つが、酸の強さとしてはスーパーアシッドには及ばない。
漫画とかでもネタとして登場したりする、金を溶かす特性があるけどそれは酸として強いからではないらしい
硫酸との比較
硫酸(H₂SO₄)のpKaは -3.0 ですが、最強の酸であるフルオロアンチモン酸(pKa ≈ -31)は 硫酸の1000垓倍以上 の強さを誇ります。スーパーアシッドは桁違いに強力な酸性を持っているのです!
酸の名前 | pKa | 硫酸との強さ比 |
---|---|---|
フルオロアンチモン酸(HSbF₆) | -31 | 10²⁸倍強い |
マジック酸(FSO₃H + SbF₅) | -19 | 10¹⁶倍強い |
カロスター酸 | -18 | 10¹⁵倍強い |
フルオロスルホン酸(FSO₃H) | -15 | 10¹²倍強い |
マジック酸とは?
マジック酸(Magic Acid)は、フルオロスルホン酸(FSO₃H)と五フッ化アンチモン(SbF₅) を混合して作られる強力な超酸(スーパーアシッド)です。
化学式: FSO₃H + SbF₅
pKa: -19(硫酸より10¹⁶倍以上強力)
なぜ「マジック」なのか?
1974年、発見者のジョージ・オラ博士がキャンドルワックス(炭化水素)を完全に溶解・プロトン化したことに驚き、「マジック」と名付けられました。
マジック酸の特徴
強力なプロトン供与能力(ほとんどの有機化合物をプロトン化できる)
超安定なカチオンの生成(炭化水素すらイオン化可能)
有機合成・石油化学で活用(超酸性条件下での反応を促進)
フルオロアンチモン酸の保存方法
フルオロアンチモン酸は極めて強い酸性と強力な腐食性を持つため、通常のガラスや金属の容器では保存できません。保存には、以下のような特殊な容器が必要です。
適切な保存容器
テフロン(PTFE)製容器
フッ素樹脂(PTFE)は耐酸性に優れ、HSbF₆の影響を受けにくい。
一般的な「テフロンコーティング」ではなく、完全なPTFE製の容器が必要。
パーフルオロアルコキシ(PFA)樹脂製容器
PTFEと同様の耐薬品性を持ち、耐熱性も高い。
研究室ではPTFEよりもPFA製の容器が使われることもある。
特殊なフッ素樹脂コーティング容器
金属やガラスをフッ素樹脂でコーティングしたものも使用されるが、完全な耐性は保証されないため注意が必要。
保存時の注意点
通常のガラス製や金属製の容器では保存不可! (フッ化水素と同様に溶かしてしまう)
冷暗所で保管し、密閉状態を維持する(揮発性や反応性が高いため)
適切な換気設備がある場所で取り扱う(有毒なフッ化水素ガスが発生する可能性あり)
取り扱いは専門知識を持つ者のみ!(極めて危険な物質のため、厳格な安全対策が必要)
プロトンとは?
基本的な定義
プロトン(H⁺)は、水素原子(H)から電子(e⁻)を1つ取り除いた粒子です。
水素原子(H) → 陽子1個 + 電子1個
プロトン(H⁺) → 陽子1個(電子を失った状態)
つまり、プロトンは陽子そのもの!
まとめ
フルオロアンチモン酸は、硫酸の1000垓倍以上の強さを誇る最強の酸!
マジック酸は炭化水素すらプロトン化できる強力な酸!
フルオロアンチモン酸は金を溶かせない(酸化力を持たないため)
プロトン(H⁺)は水素原子から電子を失った「陽子」。
酸とプロトンの不思議な世界、楽しんでいただけましたか?
質問や気になることがあれば、ぜひコメントで教えてくださいね!
ではでは(^ω^)ノシ
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