体育館の壁に立てかけられた、登ることもできそうな“はしご”。でも使ってるところ、見たことありますか?
あれ、なんなんだろう…?と思ったことがある人も多いはず。今回は、体育館でひっそりと存在感を放つ“謎のはしご”について深掘りしてみました!
それ、実は「肋木(ろくぼく)」という正式な器具です
まず名前から。「謎のはしご」の正体は、**肋木(ろくぼく)**という体操器具です。
読み方も難しいですが、これはスウェーデン発祥の体操「スウェーデン体操」で使われる、れっきとしたトレーニング器具。
19世紀のスウェーデンで生まれたもの
日本でも明治時代末期〜大正期にかけて全国の学校に導入され、昭和の体育の定番アイテムだったんです。
スウェーデン体操とは?
スウェーデン体操は、19世紀にペール・ヘンリック・リング博士によって体系化された体操です。
目的はズバリ、健康な体と姿勢をつくること。
特徴は以下の4つの分野に分かれていること:
- 教育体操(姿勢・柔軟性)
- 医療体操(リハビリ)
- 軍事体操(兵士の体力強化)
- 美体操(バレエや表現体操)
当時の日本では「西洋式の近代体操」として大流行し、肋木もその一環で導入されました。
スウェーデン体操はドイツ体操を元にしています
ドイツ体操は鉄棒(Reck)や木馬(Pferd)に一定の基準があり、使える人と使えない人がいました
鉄棒だと手が届かなかったりしたわけです。
肋木はそれを解決したものといえます。
鉄棒みたいに回り技はできませんが懸垂やぶら下がりなどが出来ます。
日本に導入された時代は学校体育の主要教材が、
- 普通体操(軽体操)
- 兵式体操(隊列運動)。
しかなく健康的な軽い運動の軽体操に比べて兵式体操は文字通り兵士を作るための運動であるため
過酷で女性や体力ない子どもには向かない
ちょうど中間の体操がなかったというわけです。
そこで肋木を使ったスウェーデン運動が注目されたというわけです。
肋木でできることって?
使い方は意外と多彩です。
- 懸垂やぶら下がり:腕や背中の強化
- ストレッチ:背骨や肩甲骨周りの柔軟性アップ
- 足をかけて腹筋:体幹トレーニング
- 姿勢矯正:バランス感覚の育成
また、医療体操としても利用されており、現代のリハビリ運動にも通じる要素がたくさんあります。
懸垂などのぶら下がる系の筋トレや体操選手のような運動も可能です。
腕と体幹の力で真横にぶら下がる?まるで風になびく旗のような姿勢になる運動もできます。
立体的な運動が可能なのも魅力
現代ではどうなった?
時代とともにスウェーデン体操が学校のカリキュラムから外れ、肋木の出番は減少。
今では、体育館の隅で“なんとなくあるけど誰も使わない”存在になってしまっています。
でも、最近ではリハビリやフィットネスの分野で再注目されており、海外では「Stall Bars」や「Swedish Ladder」として再ブーム中。
YouTube動画で紹介されています
最近の話題:学生たちも肋木に注目!
実は最近、金沢星稜大学の学生さんたちもこの「謎のはしご(肋木)」に着目し、調査・発表を行って話題になりました。
肋木の歴史的価値や、スウェーデン体操との関係を掘り下げることで、改めて体育器具としての意義を見直そうという試みです。
現代の教育現場でも、こうした「埋もれた器具」が再評価されているのは素敵ですね!
まとめ:はしごじゃなかった!実は奥深いトレーニング器具だった
見慣れた「体育館のはしご」、実はスウェーデン体操の歴史を背負った肋木という器具でした。
名前を知るとなんだか親しみがわいてきませんか?
今度体育館で見かけたら、ちょっとぶら下がってみるのもいいかもしれません。肩こりに効くかも…?
ではでは(^ω^)ノシ
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