和食の1ジャンルとして海外でも有名なお寿司ですが、その起源は実は日本ではありません。
日本が発祥ではないとしたら中華大陸、昔の中国(国名がコロコロ変わる)から学んだと思われがちですが
その起源は何と東南アジア。
もちろん、今のお寿司ではありません。
発酵食品のなれ鮨に近い保存食です。
生魚を食べる技術というのはお酢が作られたり醤油とか生姜を使った漬けなど徐々に発展して今のお寿司になりました。
今では高級食材の【マグロの大トロ】も江戸時代では保存技術が未発達なため、【猫またぎ】と言われていました。
猫も避けるくらい不味いという意味です。
技術の発展がそのまま、お寿司の発展に繋がっているのは面白い。
なれ鮨とかはかなり好き嫌いが分かれると個人的には思っています。
寿司は元々、保存食で東南アジアから日本に伝わった。
東南アジア、現在のタイやミャンマーなど山岳地帯で川魚とお米を乳酸発酵させて作った保存食が
中国、朝鮮半島を通って日本にやってきたそうです。
稲作と同時に日本へ伝わった技法で生魚と米飯と塩で漬け込んで作ります。
東南アジアや中国南部の地域で点々と作られています。
タイやラオス、カンボジア農村ではパーソム(熟れ寿司)、プララー(塩辛)ナンプラー(魚醤)などが売られている。
モンスーンアジアと呼ばれる地域は発酵に適した気候なのでこういう発酵食品が多い。
中国の作り方はお酒を入れたり、18世紀頃には唐辛子を入れて辛味を出すようにした。
熟れ寿司とは?
日本では【熟れ寿司】と呼ばれいます。
熟れ寿司(なれずし)はフナや鮎、うなぎなんかをお米と一緒に発酵させて魚だけを食べる料理です。
お米の伝来と同じ時期に伝わったと言われたりもしますが少なくとも奈良時代にはあった。
平安時代の中期に制定された延喜式(法律)には西日本の調(税金)として様々な熟れ寿司の記載がある。
鮒ずしは有名ですね。
鮎やハス、オイカワ。、うぐい、ニシン、イワナなどなど、
基本的に下処理をした魚をご飯に漬け込んで作る、【魚の漬物】みたいな料理。
お米だけで漬け込むものを「なれずし系」 寒い地域だと麹を混ぜて甘みがプラスされた【飯寿司(いずし系)に分類される。
中には三十年漬け込んだ熟れ寿司なんかもある。
レビュー記事を読むと臭いが強烈で味はよく熟成されたウォッシュタイプのチーズみたいだそうです。
魚の漬物から徐々に進化して日本の握り寿司になりました。
ちなみにちらし寿司は3月3日のひな祭りに熟れ寿司に豪華な具材をちらしたのが始まりとかそうじゃないとか
お寿司はこうやって進化した。
お寿司の進化を簡単にまとめるとこんな感じ
熟れ寿司→早鮨(押し寿司)→握り寿司
大雑把に説明するとこういう進化をしています。
江戸初期に産まれた早ずし
最初はご飯と塩で食べ物を漬ける保存食だったのですがお酢が手に入るようになってからは
魚をお酢で締めたり酢飯を作って具材を乗せ板などで押し込む事で発酵を促してから食べる押し寿司になった。
酢飯に魚を乗せて強くと押すと【たんぱく質分解酵素】活発になり、うまみ成分のアミノ酸に分解します。
お酢と押すで発酵と同じ効果を短時間に引き出していた。
押し寿司と言えば箱寿司とも呼ばれ、サバ寿司や「バッテラ」、雀寿司なんかも有名ですね。
押し寿司や箱寿司を総じて早ずしと言います。
江戸時代初期に早ずしが作られ、初期は茶筅などで酢をふりかけて作っていたのが徐々に押し寿司の形になった。
それでも漬けるという工程は欠かせない、押し寿司や「チラシずし」「巻きずし」、「いなりずし」など箱や樽に入れて重しで押す工程が必ずあった。
早ずしは地域によっていろいろな種類がある。
江戸時代のファーストフード握り寿司
握り寿司が産まれたのは江戸時代、発明した人は諸説あって、「与兵衛鮨」の華屋与兵衛と言われていたり、「松の鮨、本来の屋号はいさご鮨」の堺屋松五郎とも言われています。
当時の江戸は独身男性が異様に多い場所になっていました。
なので手軽に食べられるように江戸湾から捕れたての魚介を酢飯に乗せて握る、握り寿司が産まれたというわけ。
押し寿司みたいに作るのに時間がかかる料理よりも握り寿司が好まれた。
当時は屋台で気軽に食べられるファーストフード、天ぷらとお寿司を軽くつまむのが江戸っ子の嗜みみたいな?
今の回転寿司よりも、もっと気軽に食べる食べ物だったみたいですね。
大トロは不人気
当時は冷蔵保存が出来ないので煮たり焼いたり、漬け(醤油や生姜のタレ)にしたりして酢でしめたりして食べました。
現代では大人気の大トロなんかは「猫またぎ」と言われ不人気だったそうです。
猫またぎと言われる魚は複数あったそうです。
現代ではかなりの高級魚も含まれています。
今と違って保存技術も輸送技術も未発達だったから致し方ないのですが街につく頃には臭くて身も崩れていて食べれなかった。
「だんだら」や「ズルズル」と呼ばれ畑の肥料になったそうです。
マグロの赤身は醤油漬けにして食べるのが一般的だったのですが大トロは脂のせいで醤油が染み込まないため保存の出来ない食材でした。
大トロが食べられるようになったのは1960年代
意外にも大トロとか中トロが人気になるのは1960年代とつい最近。
冷凍保存の技術も向上したし、車での輸送ができるようになって新鮮な状態で魚屋に並ぶようになったから
猫またぎと言われる魚たちが一気に人気が出た。
魚の鮮度が美味さの秘訣である魚が一気にバリエーションが増えたのは意外にもつい最近。
冷凍技術が確立して冷凍マグロが市場に出回るのもこの頃。
軍艦巻きが産まれたのは1941年、銀座久兵衛
銀座久兵衛でお客さんの要望で当時、お寿司のネタとして馴染みのなかったイクラやうにを海苔を巻いた酢飯に乗せたのが始まり。
保守的な業界なので、当時はゲテモノ扱いされた。
古い江戸前寿司には軍艦巻きがなかったり、形が崩れやすいため出前のお寿司には入れないお店もあるそうです。
最新の技術で更に美味しく
現代では更に技術が進み、魚の身を熟成させた熟成魚が食べれたり。
プロトン凍結という技術により冷凍した刺し身であってもドリップ(身から出る汁)が出ないようになったり
より新鮮で美味しい魚を食べれるようになった。
プロトン凍結というのは雑に解説すると電磁波を当てて凍らせる事で細胞が壊れず旨味が流れないように冷凍する技術。
熟成魚なんて江戸時代の人が見たら妖術にしか見えないだろうな。
調べたら3Dプリント寿司なんかも見つかって、流石にやりすぎだろうっとツッコミを入れたい。
回転寿司なんかじゃハンバーグ寿司とかもあるし、海外生まれのカリフォルニアロールなんかもある。
サーモンと鮭
今や大人気のお寿司、サーモンも鮭の養殖ができるようになるまでは存在しない寿司ネタでした。
鮭には寄生虫が存在して完璧に取り除く事はできないからです。
サーモンは養殖で寄生虫を完全にシャットアウトしているから寿司ネタにできる。
まとめ
お寿司の起源は東南アジアの保存食
日本には米の伝来と一緒に伝わった言われるけど定かじゃない
奈良時代にはあった熟れ寿司
江戸時代初期に早ずし(押し寿司)が産まれ、江戸時代後期に握り寿司が産まれた。
握り寿司は屋台で天ぷらなんかと一緒に食べるファーストフード。
軍艦巻きは1941年産まれでつい最近、作られたお寿司。
大トロの人気が出たのは冷凍技術が発達した1960年代
2020年には熟成魚を使ったお寿司なんかもあるし、
プロトン凍結なんかの技術で美味しいお寿司がスーパーで買えるようになった。
鮭も養殖方法が確立した事で寿司ネタとして使えるようになりました。
握り寿司はもはや熟れ寿司とは別物ではあるけどルーツをたどれば東南アジアにある保存食である事はたしか
韓国が握り寿司の起源は韓国と言っていますが熟れ寿司っぽい料理があるだけで押し寿司がない時点でお察し。
こうやって系統だてて解説すると、とんでもない歴史がありますね。
ではでは(^ω^)ノシ
この記事もおすすめ
回らない寿司屋のマナーや食べ方!!醤油のつけ方でカッコ良さが決まる!会計するときの「おあいそ」は客は使わない。
鮭とサーモンの違いとは?高級寿司店でサーモンが出ない理由にもなる。