言葉の雑学

早口言葉の起源 — 世界を巡る言葉遊びの歴史

 

言葉がもつ“音の面白さ”を楽しむ遊び――それが早口言葉(tongue twister や 各国の呼び名)です。

今回は日本・英語圏・フランス語・スペイン語・中国語を中心に、早口言葉がどのように生まれ、育ってきたのかをわかりやすくまとめました。

起源を厳密に断定するのは難しいですが、口承・詩歌・演劇・発音訓練という共通の文脈が見えてきます。

 

 


イントロ:早口言葉はいつ生まれた?

結論から言うと、「いつ生まれたか」を示す確固たる証拠は存在しません。

多くの言語で早口言葉的な表現は口承で伝わり、やがて文字文化の中に取り込まれていきました。

つまり起源は『長い時間をかけた伝承と変化の過程』の中にあると考えるのが自然です。

 

 

早口言葉はたいてい次のような場面で育ちます。

  • 詩歌や修辞で音を重ねる表現(頭韻・連韻・重複)
  • 舞台芸能や道化的パフォーマンス(滑舌を見せる余興)
  • 子どもの発音訓練や朗読練習
  • 言葉遊び・ユーモアのための口承

以下、言語別に見ていきます。

 

早口言葉なんて誰でも思いつくしそれぞれの民族が独自に発展させていけるから断定できないのは当然かもしれませんね

 

 


日本:平安の「早歌」から江戸の「外郎売」へ

日本では、平安時代に「早歌(はやうた/そうか)」と呼ばれる速く歌う余興があったとする説があります。

文字に残る直接の早口言葉は少ないものの、歌や朗詠の速さで笑いをとる文化は古くからあったと考えられます。

 

 

一方、比較的記録に残る例としては江戸時代の歌舞伎台詞『外郎売(ういろううり)』があります。

長く早口で口上を述べるこの演目の口上には、発音が複雑で舌をひねるような語句が多く含まれ、後世の早口言葉文化に影響を与えたとされています。

 

 


英語圏:印刷物に残る早い記録と“tongue twister”の語

英語圏では、19世紀前半から印刷物に早口言葉的句が現れます。代表的な例は:

  • Peter Piper(1813年ごろに登場するアルファベット学習や発音教材の例)
  • She sells seashells by the seashore(19世紀の練習教材として知られる)
  • How much wood would a woodchuck chuck...(20世紀初頭の歌曲由来)

“tongue twister”という言い方が記録に現れるのは19世紀後半。印刷文化の普及とともに、早口言葉は発声練習や子ども向け言語遊びとして広まりました。

 

 


フランス語:virelangue(比較的新しい呼称)

フランス語の早口言葉は virelangue(他に casse‑langue や fourche‑langue など)と呼ばれます。

virelangueという語が文献で確認されるのは20世紀初頭頃で、詩的修辞(頭韻・反復)の伝統がもとになっていると考えられます。

つまりフランス語圏では「早口言葉という概念名が比較的新しく定着した」一方で、その基盤となる音韻遊び自体はずっと以前から存在していました。

 

 


スペイン語:trabalenguas — 舌を詰まらせる言葉

スペイン語での呼び方は trabalenguas。語源は“舌(lengua)を詰まらせる(traba)”というイメージで、子どもの発音練習や言葉遊びとして広く使われています。

有名な例は “Erre con erre cigarro...” のように /r/ の振動を練習させる構造になっている句。

多くは口承で伝わるため、文献上の“最古例”を特定するのは難しいです。

 

 

 


中国語(漢語):绕口令(rào kǒu lìng)と長い伝統

中国語では 绕口令(繞口令) が早口言葉に相当します。伝説的に黄帝時代(紀元前27世紀頃)までさかのぼらせる説もありますが、史料で確実に裏付けられるわけではありません。

確かな点としては、古くから双声・叠韵の詩歌(音の反復や頭韻を活用する形式)があり、これらが口承遊戯へと流用された可能性が高いことです。

近代では相声(漫才のような語り芸)と結びついて、绕口令が広く用いられるようになりました。

 

 

興味深い現代例として、言語学者が作った同音文(例:全部が「shi」に近い音で構成された短文)など、意図的に“舌の運動”を追求する遊びもあります。

 

 


共通点とまとめ:起源は“散らばった口承”にあり

各言語で異なる名前や典型的な例が存在しますが、よく見ると共通した流れがあります。

  1. 音韻遊びの伝統(詩歌や修辞)が基礎にある。
  2. 口承で伝わる言葉遊びとして長く存在してきた。
  3. 文字文化・印刷物・演劇・教育が入ることで、特定の句が広まり“早口言葉”として定着する。

つまり「いつ・どこで最初に生まれたか」は断定できなくても、早口言葉は人類が言葉を楽しむ普遍的な手法の一つとして古くから存在してきた――と考えるのが自然です。

 

調べた限りでは早口言葉は中国が一番古いかもみたいな感じになっていますね

日本は平安時代くらいから早口言葉の概念があったというのも面白い

 

ではでは(^ω^)ノシ

 

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豆知識(練習法)

  • まずはゆっくり正確に発音する。慣れたら少しずつスピードを上げる。
  • 苦手な音(/r/、/th/、母音の連続など)を見つけたら、そこだけ繰り返し練習する。
  • 舞台芸の真似をして、腹式呼吸や口の開け方を意識すると滑舌が改善する。

 

 

 

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