「水中でガラスをハサミで切れるらしいよ!」 そんな都市伝説っぽい話を聞いたことはありませんか?
実際、動画なんかで見たことがある人もいるかもしれません。でも、結論から言うと、普通にやっても絶対に無理です。
ガラスって硬くて脆い素材なので、ハサミみたいな道具で切ろうとするとパキッと割れるだけ。
でも、なぜか水中だとちょっと様子が違うらしいんです。実はこれ、「ケモメカニカル効果」っていうちょっと不思議な現象が関係しているんですよ。
YouTube動画
見て分かる通り、空気中で切ろうとすると四方八方にガラスが飛び散りますが
水の中だとキレイにカットできます。
ケモメカニカル効果ってなに?
難しそうな名前ですが、簡単に言うと「化学反応が起こると割れ方が変わる現象」です。
ガラスは酸素とシリコンが強固に結合した状態
水中にガラスを入れると、水分子がガラスの表面にくっついて原子同士の結びつきが少しだけ弱くなるんです。
すると、ひびが入りやすくなって、パキッといくよりもスーッと割れが進むことがあります。
原子同士に少し隙間ができるからハサミが入りやすくなる。
さらに水中だと、割れた破片が飛び散らないので「まるでハサミで切っているように見える」ことがあるんです。
でも実際には、あらかじめ傷をつけたところから割れているだけなので、「切っている」とはちょっと違うんですね。
鉄でも同じような事は起きていて
鉄が塩分や酸などで錆びていいくと原子同士のつながりが弱くなります
鉄が錆びるともろくなるのはケモメカニカル効果が起きているからです。
空気中だとどうなる?
じゃあ空気中だとどうか?
当然、切れません。
ハサミを入れても「バキッ」といきなり割れてしまって、細かい破片が飛び散る危険があります。
空気中では水中みたいに表面の結合が弱まることがないので、衝撃が一気に伝わってしまうからです。
つまり、ハサミで切るなんて夢のまた夢。物理的にも、科学的にも空気中でハサミ切断は無理ゲーです。
水につけたくらいでケモメカニカル効果が起きるという事はガラスってかなり不安定な物質なの?
一見そう思えますが、実はガラス自体はとても安定した物質です。
ただ、水につけただけでケモメカニカル効果が起きるのは、ガラスの表面がとても繊細だからなんです。
なぜ水でガラスが脆くなるの?
ガラスの主成分は二酸化ケイ素(SiO₂)
ガラスはシリコン(Si)と酸素(O)が強く結びついた共有結合を持っていて、これはとても頑丈です。でも表面は別物
ガラスの表面には微小な傷がたくさんあり、その傷の先端は原子レベルで見ると結合がむき出しになっています。水がその結合を狙う
水中に入れると、水分子が表面の傷に入り込み、シリコンと酸素の結合をちょっとだけ弱める。Si–O–Si(シリコン–酸素–シリコン)の結合が一部**Si–OH(シラノール基)**に変化。
これで割れが進みやすくなる。
つまり、ガラスは安定?不安定?
全体としては安定
ガラスの内部は頑丈で、熱にも化学薬品にも強い。
表面は不安定
水や湿気、化学物質が原因で表面の結合が弱くなり、ひび割れが進行しやすい。
どのくらい不安定?
水につけただけで割れるわけではないので、日常的に使う分には心配無用。
でも顕微鏡レベルで見ると、湿気や水で割れが進みやすくなるのは確か。
ガラス繊維や薄いガラスだと、この効果が顕著になることもある。
✅ 結論
ガラスは基本的に安定しているが、表面の小さな傷がある部分だけ不安定になる。
水につけたくらいで割れやすくなるのは、目に見えないレベルの化学変化が関与しているため。
でも、普通に使っている分には壊れやすいわけではないので安心してOKです!
まとめ
水中でガラスをハサミで切る?
→ 実は割れてるだけ。でも水中だと破片が飛び散らず、ひび割れがゆっくり進むから切ってるように見える。ケモメカニカル効果とは?
→ 化学反応で素材が脆くなり、割れ方が変わる現象。空気中で切るとどうなる?
→ 一瞬で割れて危ない。切るというより粉々。
水中でハサミを入れてもスパッと切れるわけではないけど、化学の力が影響していると思うとちょっと面白いですよね。
こんな雑学を知っていると、飲み会や休憩時間の話のタネになるかも?
ではでは(^ω^)ノシ
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