天文ファンなら「M78」や「M31」という呼び方を見かけたことがあるはず。
そうじゃなくてウルトラマンのM78星雲が気になった人はいるはずです。
この記事では、あの頭に付く「M」が何を指すのか、M78を例に「星雲ってそもそも何?」という基本も丁寧に解説します。
。
1. 結論:Mは「Messier(メシエ)」のM
- M = Messier(メシエ)。18世紀のフランスの天文学者、Charles Messier(シャルル・メシエ) に由来します。
- 「M+番号」は メシエ・カタログ に登録された天体を指す接頭辞で、例えば M78 = Messier 78(カタログの78番目)という意味です。
- メシエがこのリストを作った目的は単純:彗星探しのときに“彗星と間違えやすい”ぼんやりした天体をメモしておくため。つまり彗星の“邪魔者”リストがのちに便利なカタログになったわけです。
メシエさんが彗星を探していた時に間違えやすい天体をメモしたものですね
2. M78(メシエ78)ってどんな天体?
- 分類:反射星雲(reflection nebula)
- 位置:オリオン座の近く(NGC 2068 と同一)
- 特徴:星の光が近くの星間塵に反射して青っぽく見える。M78はオリオンB分子雲の一部で、比較的明るく小口径の望遠鏡や双眼鏡でも“もやっと”見える定番ターゲットです。
- 発見:Pierre Méchain(ピエール・メシャン)によって1780年に発見され、すぐにメシエ・カタログに収録されました。
※豆知識:天文写真では青が目立ちますが、これは反射光が短波長(青)を効率よく散乱するためです。だからM78は写真だと青く映りやすい。
3. 「星雲」とは? 基本の種類と見え方
「星雲」はざっくり言うと ガスや塵が集まって見える“もや”。種類によって見え方や原因が違います。
- 散光星雲(Emission nebula)
- 若い星の紫外線でガスが励起され、赤っぽい輝線(特に水素のHα)で光る。
- 例:M42(オリオン大星雲)。
- 反射星雲(Reflection nebula)
- 星の光が周囲の塵に散乱・反射して見える。色は散乱で青っぽくなることが多い。
- 例:M78(今回の主役)。
- 暗黒星雲(Dark nebula)
- 密度の高い塵が背景の星や星雲の光を遮って黒く見える。馬頭星雲(Horsehead Nebula / Barnard 33)は有名。
- 惑星状星雲(Planetary nebula)
- 恒星内部の外層が外側へ吹き飛ばされ、中心の残骸が紫外線でガスを光らせる。見た目が丸くて小さいのが多い。
- 例:M57(リング星雲)。
- 超新星残骸(Supernova remnant)
- 超新星爆発の残骸。構造や色が複雑。
- 例:M1(かに星雲)。
4. メシエ・カタログはどれくらいの量があるの?
- 答え:110個の天体が登録されています(M1からM110まで)。
- 歴史的にはメシエ自身がまとめた初期版は 103個。その後、彼のノートや同時代の観測記録を元に7個が追加され、現代のリストは110個という形になりました。
- カタログの性格上、銀河、散開星団、球状星団、星雲、超新星残骸など「彗星と見間違えそうな“ぼんやり天体”」が混在しています。
5. 観望の楽しみ方(初心者向け)
- 双眼鏡でも見つかるものがある:M31(アンドロメダ銀河)、M45(すばる/プレアデス)、M42(オリオン大星雲)などは双眼鏡で楽しめます。
- 小さな望遠鏡で面白い天体多数:M78やM1、M57などは小型の望遠鏡でも観察可能。
- 一晩で110個を目指す“メシエ・マラソン”:春の夜に110個を1晩で観測するチャレンジがあり、アマチュア間で人気です。
- 観察のコツ:空の暗さ(光害)、透明度、望遠鏡の口径によって見え方が大きく変わるので、可能なら郊外へ出かけましょう。反射星雲は写真で映えるが、肉眼・眼視では“淡い青いもや”に見えることが多いです。
6. 観望記に使えるワンポイント
- 「M78」と書くときは M(=Messier) を強調して、由来(メシエが彗星探しのために作った備忘録)を一言添えるだけで読みやすくなります。
- 星雲の写真を使う場合は、反射/散光/暗黒のどれに属するかを明記すると親切。例えば「M78(反射星雲)」のように。
- 初心者向けの観望ガイド:見るのに適した季節(オリオン周辺は冬〜春)、双眼鏡or望遠鏡の推奨、空の条件を書けば実用性が上がります。
7. フィクション(ウルトラマン)のM78と実在のM78の違い
- フィクション側(ウルトラマンシリーズ)
- 「M78星雲」はウルトラマンたちの故郷として登場する**“固有名詞としての天体”**。物語の世界では文明が存在し、知性を持つ住人(ウルトラ族)が暮らす“天体・領域”として描かれます。
- 超光速移動や惑星間を自由に往来する描写、固体の惑星や都市、社会構造まであるなど、物語上の設定として人間に近い生活圏が存在する前提で使われます。
- 実際の天文学でのM78(Messier 78)
- **反射星雲(reflection nebula)**で、オリオン座付近にある“ガスと塵の薄いもや”です。写真でははっきり見えますが、宇宙空間的には非常に希薄で、そこに『都市』や『固体の惑星』がそのまま存在するわけではありません。
- 距離はおおむね**約1,400〜1,600光年程度(参考値)**とされ、実際の構造は星間雲や若い星の育つ領域が混在しているような場所です。
- 簡単な違いまとめ
- “住める世界”か“希薄なガス雲”か:ウルトラマンのM78は住める世界として描かれるが、実際のM78は希薄な星間物質の集まりで、物理的には人や都市があるような場所ではない。
- 描写の目的:フィクションは物語性とキャラクターの背景づけのために天体名を流用する。現実の天文学は観測データに基づき、物理的性質(ガス・塵・距離・光の散乱など)を記述する。
補足:フィクション作品が実在の天体名を使うのはよくある手法で、作品にリアリティやスケール感を与える効果があります。読者や視聴者は「実際にはこういうものだよ」と一言添えると誤解を避けられます。
1600光年と比べるとウルトラマンの300万光年はかなり盛っていますね
おわりに
「M」はただの一文字ですが、そこには天文学史と観望文化が詰まっています。
M78のような反射星雲は写真映えする一方で、実際の観望では“淡いもや”として静かに存在感を示す——そのギャップもまた、星空の魅力です。
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ではでは(^ω^)ノシ
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