運動会の綱引きで「オーエス!オーエス!」と声を合わせた経験がある人は多いでしょう。
しかし、よく考えると不思議ではないでしょうか。
「オーエス」とは何語なのか、どんな意味があるのかを知っている人は意外と少ないものです。
実はこの掛け声、日本語ではなく外国語が由来になったという説があります。
しかも、私たちが思っている意味とは少し違うかもしれません。
結論からいうと、「オーエス」はフランス語の掛け声が変化したものと考えられています。
ただし、はっきりとした記録が残っているわけではなく、有力な説のひとつとして語り継がれているものです。
綱引きの定番となった掛け声のルーツをたどってみましょう。
オーエスの掛け声の由来とは?
「オーエス」の由来として最も有力なのが、フランス語の「oh hisse(オーイス)」です。
これは船の帆や重い荷物を引き上げるときに使われた掛け声で、日本語でいう「よいしょ」や「せーの」に近い意味を持っていたとされています。
フランス語の「hisser」には「引き上げる」「巻き上げる」という意味があります。
そのため、複数人で力を合わせる場面で「oh hisse」という掛け声が使われ、それが日本人の耳に「オーエス」と聞こえたという説が広く知られています。
つまり、「オーエス」という言葉そのものに意味があるというよりも、力を合わせるためのリズムを取る掛け声だったのです。
元々、船乗りが帆や旗を引き上げる時に「引け!」という意味のかけ声だったと言われています。
オーエスには英語由来という説もある
「オーエス」の語源としてはフランス語の「oh hisse(オーイス)」が有力とされていますが、一部では英語由来ではないかという説もあります。
例えば英語の「Heave-ho(ヒーブ・ホー)」です。
これは船員たちがロープを引いたり、重い物を動かしたりするときに使う掛け声で、日本語の「よいしょ」に近い意味を持っています。
綱引きや船上作業など、みんなで力を合わせる場面で使われる点は「オーエス」とよく似ています。
ただし、「Heave-ho」がどのように変化して「オーエス」になったのかを示す明確な資料は見つかっていません。
そのため現在では、英語の「Heave-ho」よりもフランス語の「oh hisse」が語源になったとする説のほうが広く知られています。
いずれにしても共通しているのは、「オーエス」が力を合わせて物を引くための掛け声として使われてきたという点です。
なぜ綱引きで使われるようになったのか
綱引きは世界各地で古くから行われてきた競技ですが、日本で現在のような運動会競技として定着したのは明治時代以降とされています。
当時の日本は西洋文化を積極的に取り入れていました。
スポーツや軍事訓練、船舶関連の技術などを学ぶ中で、外国人が使っていた掛け声も一緒に伝わったと考えられています。
その過程で「oh hisse」が「オーエス」として定着し、綱引きの掛け声として全国に広まったというわけです。
ただし、当時の詳細な記録は少なく、どのような経路で広まったのかは現在でも完全には解明されていません。
実は「オーエス=引っ張れ」ではない?
「オーエス」は「引っ張れ」という意味だと思われがちです。
しかし、これは少し違います。
元になったとされる「oh hisse」は命令というより、みんなでタイミングを合わせるための掛け声でした。
日本語の「せーの!」をイメージすると分かりやすいでしょう。
例えば重い家具を持ち上げるとき、「せーの!」と言いますが、「せーの」自体に特別な意味はありません。
それと同じように、「オーエス」も力を合わせるための合図として使われていたと考えられています。
この点は意外と知られていない部分かもしれません。
実は本格的な綱引きではオーエスと言わないこともある
運動会では当たり前のように聞こえるオーエスですが、競技レベルの綱引きでは事情が少し異なります。
本格的な大会では、掛け声をほとんど出さないチームも珍しくありません。
大きな声を出すと呼吸が乱れたり、力が分散したりするためです。
選手たちは足の踏ん張りや体重移動、ロープの張り具合などを重視し、無駄な動きを減らします。
そのため、テレビで見るような競技綱引きでは静かなまま試合が進むこともあります。
「綱引き=オーエス」というイメージを持っている人にとっては意外な事実ではないでしょうか。
地域によって掛け声が違うこともある
実は綱引きの掛け声は全国共通ではありません。
地域の伝統行事や祭りと結びついた綱引きでは、それぞれ独自の掛け声が使われることがあります。
「よいしょ」「えいやさ」「せーの」など、その土地ならではの表現が受け継がれている例も少なくありません。
つまり、私たちが当たり前だと思っている「オーエス」は、数ある掛け声のひとつに過ぎないのです。
地域文化によって違いがあることを知ると、綱引きという身近な競技も少し違って見えてきます。
おわりに
綱引きの掛け声として知られる「オーエス」は、フランス語の「oh hisse」が由来になったという説が有力です。
ただし、確実な記録が残っているわけではなく、現在も有力説として語られています。
何気なく口にしていた掛け声の背景には、明治時代の国際交流や言葉の変化が隠れていました。
次に運動会で「オーエス!」という声を聞いたときは、その言葉が海の向こうから伝わったかもしれない歴史に思いを巡らせてみてはいかがでしょうか。
