音楽室のピアノ、発表会のグランドピアノ、テレビで見るコンサートホールのピアノ。
思い浮かべると、ほとんどが黒色ではないでしょうか。
しかし、よく考えてみると不思議です。木で作られている楽器なのに、なぜギターやバイオリンのように木目を活かさないのでしょうか。
実は、ピアノが黒いのは高級感を演出するためだけではありません。
大量生産しやすかったことや、舞台で演奏者を引き立てる役割があったことなど、複数の理由が重なった結果として「ピアノ=黒」が世界の常識になったのです。
実は昔のピアノは黒くなかった
現在では黒いピアノが当たり前ですが、18世紀から19世紀初頭にかけてのピアノは木目を活かした家具のようなデザインが主流でした。
ピアノの祖先であるチェンバロには、赤や緑、金色の装飾が施されたものも多く、現代の黒いピアノとはかなり印象が異なります。
当時のヨーロッパでは、ピアノは音楽を演奏する道具であると同時に、室内を飾る高級家具でもありました。
そのため、木目や装飾を見せることが重要だったのです。
つまり、「ピアノは黒いもの」という感覚は、実はそれほど古いものではありません。
日本が「ピアノ=黒」を定着させた?
実は、日本の存在も黒いピアノの普及に大きく関わったといわれています。
日本にピアノが入ってきたのは明治時代、しかしピアノは日本の環境との相性が良くなかった。
日本はヨーロッパより湿気が多く、木材への負担も大きい環境です。
なんで湿気がダメかと言うと楽器に使われている木材は乾燥しすぎても水分を含みすぎてもダメ
湿気で水を含んだり乾燥して水気が抜けたりを繰り返すのはピアノに良くない
湿気からピアノを守るために防水処理は必須だった。
そのため、初期の国産ピアノには湿気から守る目的で黒い漆が使われたとされています。
さらに高度経済成長期になると、ヤマハやカワイなどのメーカーが大量生産体制を確立しました。
学校や音楽教室、一般家庭へ黒いピアノが次々と普及した結果、多くの日本人が子どもの頃から黒いピアノを見て育つことになります。
こうして「ピアノといえば黒」というイメージが社会全体に定着していったのです。
黒いピアノが広まった最大の理由は大量生産だった
ピアノが黒くなった理由として、高級感を思い浮かべる人は少なくありません。
もちろん黒には重厚感がありますが、実際には製造面でのメリットが非常に大きかったとされています。
木目仕上げのピアノを作る場合は、表面に貼る木材の模様を揃えなければなりません。
さらに全体の色合いや質感も合わせる必要があり、多くの手間がかかります。
一方で黒塗装なら、木材の色ムラや細かな傷を目立たなくできます。仕上げ工程も簡略化できるため、大量生産に向いていました。
その結果、価格を抑えながら多くのピアノを生産できるようになり、黒いピアノが急速に普及していったのです。
コンサートホールのピアノが黒いのにも理由がある
では、なぜ現在のコンサートホールでも黒いピアノが主流なのでしょうか。
その理由は、舞台の主役がピアノではなく演奏者だからです。
黒は光の反射を抑えやすく、周囲の景色にもなじみます。
そのため観客の視線がピアノ本体ではなく演奏者へ向かいやすくなります。
また、黒はドレスやタキシードとの相性も良く、どのようなホールにも合わせやすい色です。
華やかな舞台でありながら、演奏そのものを引き立てる。その役割を黒いピアノが担っているのです。
木目のピアノは消えたわけではない
黒いピアノが主流とはいえ、木目仕上げのピアノがなくなったわけではありません。
特にヨーロッパでは「木の楽器らしさ」を重視する人も多く、現在でも木目のピアノは根強い人気があります。
また、木目と黒塗装で音が変わるのではないかと考える人もいますが、音色への影響は基本的に外装より内部構造の方が大きいとされています。
つまり、色の違いは主に見た目やインテリア性の違いと考えてよいでしょう。
ピアノが黒いのは高級感のためだけではなく、製造のしやすさや舞台演出、日本独自の歴史が重なった結果でした。
普段何気なく見ている黒いピアノも、その背景を知ると少し違って見えてくるかもしれません。
ではでは(^ω^)ノシ
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