「男性のほうが女性より背が高い」と聞いても、あまり不思議には感じないかもしれません。
ところが、少し考えると疑問が浮かびます。
男子は女子より成長期が遅いのに、なぜ最終的な身長は男子のほうが高くなりやすいのでしょうか?
その理由は、単純に「男性のほうが成長するから」ではありません。
男女では成長が始まる時期と終わる時期が違うことに加え、骨の成長に関わる遺伝子の働きにも違いがあると考えられています。
男女で身長差が生まれる大きな理由は「成長のタイミング」
男女の身長差を考えるとき、まず重要なのが思春期を迎える時期です。
一般的に女子は男子より早く思春期を迎えます。そのため、女子は男子より先に身長が大きく伸び始めます。
一方、男子は思春期が始まる時期が遅く、身長の伸びが大きくなる時期も後ろにずれます。
ここだけを見ると、
「早く伸び始める女子のほうが、最終的にも高くなりそう」
と感じますよね。
ところが、重要なのは成長のスタートだけではありません。
男子は成長が始まる時期だけでなく、身長の伸びが終わる時期も遅くなる傾向があります。
つまり、
女子:早く始まり、早く終わる
男子:遅く始まり、遅く終わる
という違いがあります。
女性の「身長が伸びる成長期」で考えるなら、一般的には小学校高学年ごろから中学生ごろまでが中心です。
男子は小学校高学年ごろから高校生ごろまで
一般的には女子は小学校高学年頃から身長が一気に伸びるのに対して
男子は中学生の頃に身長が一気に伸びる
「成長期が遅い」という言葉だけを見ると不利に思えますが、実際には成長の終了も後ろにずれることがポイントなのです。
女性の場合、二次性徴で女性ホルモンが大量に分泌され骨の成熟が早まり骨端線が閉じるのが早くなる傾向にあります。
そういう体の仕組みから男性よりも背が低くなりがち
男子は「成長期が長い」というより、時期が後ろにずれる
「男子は女子より成長期が長いから背が高くなる」と単純に考えるのは正確ではありません。
大切なのは、成長のピークが訪れる時期そのものが違うことです。
身長が伸びる仕組みには、骨の端にある「成長板」が関係しています。
成長板は、簡単にいえば骨が長くなるための場所です。
子どもの時期にはこの部分が働いていますが、成長が進むと最終的に閉じます。
成長板が閉じると、身長はほとんど伸びなくなります。
そのため、
成長が始まる時期
だけを見るのではなく、
成長板が閉じるまでのタイミング
まで考える必要があります。
女子は思春期が早く始まる傾向があるため、身長の伸びが大きくなる時期も早く訪れます。
男子はそれより後から大きく伸び始め、成長が終わる時期も後ろにずれる傾向があります。
つまり、男子の場合は「出遅れている」というより、成長のスケジュール全体が後ろにずれていると考えるほうが分かりやすいでしょう。
女子のほうが早く成長するのはなぜ?
では、なぜ女子は男子より早く思春期を迎えるのでしょうか。
ここには性ホルモンが関係しています。
思春期になると、男女ともに体内の性ホルモンが大きく変化します。
女子では女性ホルモンの一つであるエストロゲンが、身長の伸びにも関係します。
エストロゲンには骨の成長に関わる働きがある一方、最終的には成長板を成熟させ、閉じる方向にも作用します。
そのため、
思春期が早く始まる
↓
身長が早く伸びる
↓
成長板の成熟も早く進む
↓
身長の伸びが終わる時期も早くなる
という流れになります。
ここで面白いのは、女性ホルモンが「身長を伸ばすこと」と「最終的に成長を終わらせること」の両方に関係している点です。
「女性ホルモンがあるから身長が伸びない」という単純な話ではありません。
一昔前の定説
一昔前までは身長を止めるホルモンは男性は男性ホルモンで身長の成長を止め、女性は女性ホルモンで身長を止めていると考えられていました。
ですが成人しても身長が伸び続ける男性がいて彼を研究する事でこの定説が覆される
男性の遺伝子を調査したところ、女性ホルモンを受け取る遺伝子が壊れていた事が分かった。
つまり男女共に成長を止めるホルモンは女性ホルモンだったというわけです。
男女の身長差は「男性ホルモン」だけでは説明できない
男女の身長差について、
「男性ホルモンが多いから男性のほうが背が高いのでは?」
と考える人もいるでしょう。
確かに性ホルモンは成長に関係しています。
しかし、それだけで男女の平均身長差を説明するのは難しいと考えられています。
そこで注目されているのが、SHOX(ショックス)という遺伝子です。
SHOXは、骨の成長に関係する遺伝子の一つです。
この遺伝子はX染色体とY染色体の両方に存在しており、その働き方には男女で違いがあります。
研究では、SHOXの発現量などに男女差があることが確認されており、こうした遺伝子の違いも男女の身長差の一因と考えられています。
つまり、男女の身長差は、
成長する時期の違い
だけでも、
男性ホルモンの違い
だけでもありません。
骨の成長に関係する遺伝子など、複数の要因が重なって生まれていると考えられています。
実は「男女の身長差」は思春期だけで決まらない
ここまで読むと、
「男子は成長期が遅いから、最終的に高くなる」
と思うかもしれません。
しかし、これも少し違います。
身長には、もともとの遺伝的な違いがあります。
さらに、栄養状態や健康状態なども成長に影響します。
そのため、男子なら必ず女子より高くなるわけではありません。→当然個人差はある
あくまで多くの人を集団として見たときに、男性の平均身長が女性より高くなる傾向があるという話です。
また、SHOXについても、それだけで男女の身長差すべてを説明できるわけではありません。
成長するタイミング、性ホルモン、遺伝子などが組み合わさって、最終的な身長に違いが生まれると考えるほうが自然です。
「遅く成長するのに高くなる」の正体
結局のところ、最初の疑問に戻ってみましょう。
男子は女子より成長期が遅いのに、なぜ最終的に高くなりやすいのでしょうか?
ポイントは、男子の場合、成長のスタートだけでなく終了も遅くなる傾向があることです。
女子は早く成長が始まり、早く成長が終わります。
男子は遅く始まり、遅く終わります。
そこに、骨の成長に関係する遺伝子や性ホルモンなどの違いも加わります。
だからこそ、男女の身長差は「どちらが早く成長するか」だけでは説明できません。
「いつ始まり、いつ終わるのか」まで見ると、身長差の仕組みが少し分かりやすくなります。
普段は当たり前に感じている男女の身長差ですが、実は「成長が遅いほうが、なぜ高くなるのか?」という逆説から見ると、かなり興味深い現象なのです。
感覚とか一般常識として知っていた事ですが
こうやって理論的にまとめると話やすくなりますね
ではでは(^ω^)ノシ
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