誰もが一度は聞いたことがある、物理・数学の定番パズル「列車とハエ問題」。
一見するとハエの往復回数を一つひとつ数えなければならないように見えますが、ちょっと視点を変えるだけで驚くほどシンプルに解けます。
本記事では、問題の説明、一発で解く方法、往復を級数で扱う方法、さらに発展問題や授業での使い方までわかりやすくまとめました。
「複雑に見えることほど、観点を変えれば簡単に捉えられる」。数学の美しさを味わえる代表例がこの問題です。
ちょっとした工夫で、直感と数学のギャップをすっきり埋められます。
列車とハエ問題とは
2台の列車が一直線上で、お互いに向かい合って近づいているとする。
そして、その2列車のあいだを、列車と列車の間を往復しながら飛び続けるハエがいる。
このハエの速度が一定で、列車どうしの速度や間隔も決まっている。
問題は「列車が衝突するまでに、ハエは何メートル飛ぶか?」というもの。
この種の「一見すると複数回往復を繰り返して複雑に見える運動を、実は簡単に総和で計算できる」というアイデアが、物理/数学の教育で使われる。
✅ 解き方と裏のアイデア
「ハエが往復をいくつも繰り返す距離を個別に数える」のではなく、
列車がぶつかるまでの時間をまず求め、
その時間にハエが一定速度で飛び続けると仮定して「速度 × 時間」でハエが飛ぶ総距離を出す。
→ こうすれば往復回数など複雑な往復を数える必要がなくなる。
このアプローチは “直観的には複雑に見える振る舞いを、実は単純な変数(時間、速度などの総和)で扱える” ことを示す良い教材になる。
実際、この「列車とハエ問題」は古くから知られ、議論や一般化もされてきた。例えば、加速する列車、速度が変わるハエなど、より複雑なケースにも拡張された研究がある。arXiv+1
問題の設定(典型例)
- 2台の列車が一直線上で向かい合って走っている。
- 列車間の初期距離は 200 km。
- 各列車は 50 km/h で互いに近づく。
- ハエは一方の列車の先頭から飛び出し、反対側の列車に向かって 75 km/h で飛ぶ。列車に着くたびに即座に折り返し、列車同士が衝突するまで往復を繰り返す。
問い:列車が衝突するまでにハエは合計何 km 飛ぶか?
一発で解く(速攻アプローチ)
面倒に思える往復回数の計算は捨てて、「列車同士が衝突するまでの時間」をまず求めます。
- 列車同士が近づく相対速度 = 50 + 50 = 100 km/h。
- 初期距離 200 km を 100 km/h で詰めるので、衝突までの時間は 2時間。
- ハエはその間ずっと 75 km/h で飛ぶので、飛行距離 = 75 × 2 = 150 km。
これだけ。往復の回数はいくつであっても、飛行距離は「速度 × 時間」で一発に出ます。
細かく数える(級数で見る解法)
直感的に「何往復したか」を計算したい場合は、各往復の片道距離を順番に求めて足し合わせます。各往復は列車間の残り距離に比例して短くなり、結果として等比級数になります。無限に往復しているように見えても、その無限和は有限の値に収束し、先ほどの150 kmに一致します。
この方法は「無限級数が収束する理由」や「極限の直感」を学ぶ教材として有用です。
発展問題(考え方を広げる)
- 列車が一定速度でない(加速・減速する)場合は?
- ハエの速度が列車到着時に変化する(疲れる、急加速する)場合は?
- 空気抵抗や反応時間を入れるとどうなるか?
これらは運動方程式や微分方程式を使う形に発展し、大学初年度の力学や微分方程式の演習としても使えます。
教材・授業での使い方(中高生〜初年次向け)
- 導入:問題文を提示して「直感でどう解きたいか」をディスカッション。多様な解法を引き出す。
- 速攻解法の提示:相対速度と時間の考え方を説明。
- 級数解法:数学的厳密さを求める生徒向けに無限級数を導入。収束の実例として扱う。
- 発展課題:速度変化・抵抗・ランダム運動などの条件を追加して、自作問題に挑戦させる。
授業では「問題を提示 → 直感でのアプローチ → 数学的な整理 → 発展課題へ」とつなげると学習効果が高いです。
まとめ(読後に残るポイント)
- 列車とハエ問題は「視点を変えること」の重要性を教えてくれる良問。
- 実務的には相対速度で時間を求める一発解法が最も効率的。
- 級数で数える方法は数学的理解を深めるために有効。
学校の授業や自習で扱うと、直感的な誤りや無限和の考え方を自然に学べます。
ではでは(^ω^)ノシ
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