カメを見ると「硬い甲羅で守られている」というイメージがありますが、実は甲羅の主要部分は肋骨(あばら骨)と背骨が変形してできた骨です。
本記事では、甲羅の構造、なぜ肋骨が甲羅になったと考えられているのか、化石や胚発生の証拠をやさしく整理して解説します。
カメの甲羅とは何か:骨と角質の“二重構造”を理解する
カメの甲羅は大きく分けて2層構造です。1つ目は骨の層(骨甲板)で、肋骨や椎骨が拡張・融合して形成されます。
2つ目は角質の層(鱗板=scutes)で、ケラチン(爪や角と同じ物質)でできており甲羅の表面を覆います。
したがって甲羅は「内骨格由来の骨」と「皮膚由来の角質」が一体になった複合構造です。
人間で表現すると肋骨が横にどんどん広がって背骨や胸骨などともくっついてどんどん大きくなって
胴体のほとんどが肋骨になった状態がカメというわけです。
肩甲骨もカメは肋骨の内側についています。
なぜ「肋骨が変化した」と言えるのか?発生学からの証拠
胚発生の観察では、カメの胚だけが肋骨の伸び方で特殊な変化を示します。
最初は他の脊椎動物と似た配置でも、やがて肋骨が外側へ伸び、肩甲骨が内側へ入るという発生パターンが確認されています。
この発生過程が、甲羅が肋骨由来であることを強く示しています。
甲羅って何でできているの? — 二重構造のイメージ
カメの甲羅は大きく分けて 二層構造 になっています。
骨の層(骨甲板)
肋骨(あばら骨)や背骨が変形・拡大・融合して板状になったものが甲羅の「骨」の部分を作ります。これが甲羅の主要な硬さの源です。角質の層(鱗板/scutes)
骨の上を覆うのはケラチン(爪や角と同じ物質)でできた鱗板。表面の模様や摩耗への耐性はこの層によるものです。
ですから「甲羅=単なる外皮」でも「甲羅=皮膚だけの被覆」でもなく、骨(内骨格)+皮膚由来の角質が一体化した構造だと考えるとわかりやすいです。
化石が語る進化の過程:Odontochelys(半分の甲羅)とは
約2億2千万年前のオドントケリス(Odontochelys)は、腹側の甲(腹甲)は既に持つものの、背側の甲(背甲)は不完全な“半分の甲羅”でした。
肋骨が拡張しつつある途中段階を示す重要な化石で、甲羅が段階的に形成されたことを示す証拠と考えられています。
Eunotosaurus と肋骨拡張の“原初的サイン”
エウノトサウルス(Eunotosaurus) の化石は肋骨が幅広でT字断面などの特徴を持ち、肋骨拡張の初期段階を示すと考えられます。
一部の研究は、掘削生活(穴掘り)への適応が肋骨の拡張を促し、それがのちに甲羅へつながった可能性を示唆しています。
甲羅が進化した理由は?防御だけじゃない複合的要因
甲羅が進化した理由は単一ではなく、複数の生態的圧力が関与した可能性があります。主な仮説は次のとおりです。
- 防御:外敵から身を守るための装甲として有利。
- 掘削・支持説(fossorial hypothesis):胸郭の広がりが穴掘りや地面での支持に有利で、その延長として甲羅が発達した可能性。
- 水生適応説:一部の初期亀は浅海や沿岸環境に適応しており、その生態が甲羅の形に影響した可能性。
「皮骨説(外骨格起源)」との違いと現在の学説
かつては「皮膚由来の骨板(皮骨)が合体して甲羅になった」という説もありましたが、
近年は発生学や化石の解析により甲羅の主要部分は肋骨・椎骨などの軸骨格由来で説明できるという証拠が強まっています。
ただし種や部位によっては皮膚由来の成分が関与する可能性も残ります。
まとめ:甲羅は「骨+角質」の複合体、段階的に進化した
カメの甲羅は単なる外皮ではなく、肋骨や背骨が横に拡がった骨と、それを覆うケラチン質の角質が一体化した構造です。
発生学と化石(Odontochelys、Eunotosaurus など)の証拠が、この段階的進化シナリオを支持しています。
参考(主要な情報源)
Odontochelys に関する報告(Nature, 2008). Nature
RIKEN の胚発生研究紹介(肋骨の発達と肩甲骨の位置関係). 理化学研究所+1
Eunotosaurus と掘削(fossorial)起源の議論(Lyson 等, PubMed). PubMed
ではでは(^ω^)ノシ

