死滅回遊魚とは本来生息域が違う魚が黒潮などに乗り
北の海までやってきてしまう事を言う
南の熱帯魚なんかが北の寒い海にまで来てしまう事を死滅回遊魚というらしい
たまに漁師さんの網に本来は捕れないはずの魚がかかる事もあるし
磯釣りをしていたら住んでいるはずのない魚が釣れたりする。
詳しく解説していこう。
死滅回遊魚とは?
南方の海から台風や黒潮の影響で流されてきた魚を言います。
日本列島の近くにある黒潮は沖縄から九州、関東へ流れていきます。
春は水温が低く、黒潮の流れも弱いため本州では死滅回遊魚は見られない
黒潮の流れが活発になる夏から死滅回遊魚が見られるようになる。
秋になると全盛期で関東でも死滅回遊魚が見られるようになります。
冬になると温水域からやってきた魚は冷たい海水では生きられず死にます。
黒潮の大蛇行
2017年の8月ごろから、黒潮に変化が起きている。
黒潮の大蛇行は紀伊半島付近から大きく南に蛇行する現象です。
紀伊半島から南に大きく蛇行して東京湾や相模湾に直撃するようなルートを取ります。
大きく蛇行する事で南方の魚が東京湾や相模湾で見られるようになる。
蛇行する前の2016年は最近、普通に見られるようになったサザナミフグの数さえ少なかった。
しかし、蛇行後の2017年には何匹もサザナミフグが捕れたり、チョウチョウウオなんかも捕れています。
黒潮の蛇行が始まってから年々、漁港で取れる魚のバリエーションが増えています。
チョウチョウウオの急成長
チョウチョウウオの仲間はとても小さいトリクチス幼生の状態で黒潮に流されてしまう。
遊泳力が発達していない幼生の状態では黒潮の流れに逆らう術はありません。
チョウチョウウオは流された場所で成長します。
7月上句ごろに豆チョウと呼ばれる幼魚が採取される事があります。
三ヶ月後には大きくなって立派なチョウチョウウオになっています。
わずか、3ヶ月で急成長してしまうのは驚きです。
死滅回遊魚は幼魚の状態で黒潮に流されてしまう。
成体になっていれば遊泳力もあるので流されたりしない。
地球温暖化の影響?
本来、死滅回遊魚は越冬できないというのが通説ですが
近年、2月などに死滅回遊魚が捕れたりするようです。
暖冬の影響で水温が本来よりも高い事で起きたのでしょう。
死滅回遊魚が多くなったのは地球温暖化が原因という主張する人もいるみたいです。
私見ですが死滅回遊魚が多くなったのは黒潮の蛇行が原因で生き延びる個体が多いのは地球温暖化の原因だと思います。
魚は水温の変化に弱い?
魚は水温の変化に非常に敏感で適温でないと成長が阻害されたりします。
熱帯魚なんかは水温が低すぎると死んでしまう。
それこそ南方の海は1年中20℃以上あるみたいです。
熱帯魚の飼育するには26℃の水温を保つ必要があったりします。
逆にニジマスなんかは22℃くらいが適温だったり
水温の変化に対して適応できないため魚の生息域というのは明確に分けられているという感じ
死滅回遊魚の種類
死滅回遊魚には、特に南方の温暖な海域に生息している魚が黒潮に乗って北上し、日本本州近海で見られることが多いです。
具体的な種類として、以下の魚が挙げられます。
1. チョウチョウウオ
- 熱帯・亜熱帯のサンゴ礁でよく見られる美しい魚。幼魚の状態で黒潮に乗って流され、主に夏から秋にかけて本州でも見られるようになります。
2. サザナミフグ
- インド太平洋の熱帯域に広く分布するフグ。2017年の黒潮大蛇行以降、東京湾や相模湾でも捕獲されるようになりました。フグの一種であるため、体内に毒を持つ場合もあります。
3. カスミチョウチョウウオ
- 熱帯海域に生息し、鮮やかな体色を持つ魚。黒潮に乗って本州沿岸に流されることがあり、秋頃には豆チョウと呼ばれる幼魚が見られることがあります。
4. ハタタテダイ
- 熱帯魚として有名な魚で、背びれが長く美しい外見が特徴的。南方の温暖な海に生息していますが、黒潮の影響で本州でも姿を見せることがあります。
5. アカハチハゼ
- インド太平洋に分布するハゼの一種。色鮮やかな体を持つため観賞魚としても人気がありますが、本来は温暖な海に生息しています。
6. クマノミ
- サンゴ礁域に住むことで有名な魚で、「ニモ」として親しまれています。通常は南方に住んでいますが、黒潮に乗って北上することもあります。
7. タテジマキンチャクダイ
- 幼魚の時期には縞模様を持つ非常に美しい魚で、成魚になると色が変わる。南方の魚であり、黒潮に乗って流されることがあります。
8. ミノカサゴ
- トゲが特徴的で美しい魚ですが、毒を持っていることで知られています。熱帯地域の魚ですが、日本近海でも時折見られます。
9. イトヒキアジ
- 熱帯・亜熱帯の海に生息し、体が大きくなる魚です。強い潮流に乗って本州まで流れてくることがあります。
10. ヒレナガハギ
- 太平洋の熱帯海域に生息する魚で、秋から冬にかけて日本沿岸でも発見されることがある種類です。
これらの魚たちは、黒潮や台風によって南から北に運ばれてくる典型的な「死滅回遊魚」で、秋から冬にかけて多く発見され、寒さの厳しい冬を越えることができずに死滅してしまうことがほとんどです。
温暖化や黒潮の蛇行などの要因で、近年ではこの現象がより頻繁に観察されるようになっています。
死滅回遊魚が引き起こす問題や影響
死滅回遊魚は、黒潮などの海流に乗って本来の生息域から離れた地域に漂着する魚であり、その存在は漁業や生態系、さらには経済や文化にもさまざまな影響を与えることがあります。以下に、死滅回遊魚が引き起こす問題や影響について詳しく説明します。
1. 生態系への影響
死滅回遊魚が新しい環境に漂着すると、その地域の既存の生態系に大きな影響を与える可能性があります。
- 競争と捕食: 死滅回遊魚が新たな環境に入ることで、既存の魚種との間で食料や生息場所を巡る競争が生じることがあります。たとえば、死滅回遊魚が在来の魚種と同じ餌を食べる場合、在来種の成長や繁殖が抑制される可能性があります。また、捕食者としての役割を持つ場合、食物連鎖を乱すこともあります。
- 病気の伝播: 死滅回遊魚が持ち込む病原体や寄生虫は、現地の生態系に存在しない場合が多く、これによって新たな病気が広がるリスクがあります。在来種がこの新たな病気に対して免疫を持っていない場合、大規模な死滅を引き起こすことがあります。
2. 漁業への影響
死滅回遊魚は、商業漁業にも大きな影響を及ぼすことがあります。以下のような具体的な問題が発生します。
- 漁獲物の変動: 死滅回遊魚が地域に漂着すると、漁師が通常捕獲している魚種が減少する可能性があります。これは、死滅回遊魚が在来種の餌や生息場所を奪うためです。その結果、漁獲量が減少し、漁業者の収入に悪影響を与えることがあります。
- 新しい市場機会とリスク: 一方で、死滅回遊魚が漁獲されることで新しい市場機会が生まれることもあります。たとえば、珍しい魚種が市場に出回ることで観光客や料理店の需要が高まることがあります。しかし、これらの魚が長期的に利用可能でない場合、持続可能なビジネスモデルを構築するのが難しいという問題もあります。
3. 経済的影響
死滅回遊魚による影響は、漁業だけでなく、観光業や地域経済にも波及することがあります。
- 観光産業の影響: ダイビングや釣りを楽しむ観光客にとって、死滅回遊魚は一時的に興味を引く存在になることがあります。特に南方のカラフルな魚が北方に現れる場合、観光の呼び水となることがあります。しかし、これが一時的な現象であることから、安定した経済効果をもたらすわけではなく、持続可能性に課題があります。
- 漁業者のコスト増: 死滅回遊魚の影響により、在来種の漁獲が減少した場合、漁業者は新しい漁法や技術を導入する必要が出てくることがあります。このため、設備投資や労力が増大し、経済的な負担が大きくなることがあります。
4. 文化・食文化への影響
日本では、魚は食文化の一部として非常に重要な役割を果たしています。死滅回遊魚がもたらす文化的な影響も無視できません。
- 新たな食材の登場: 死滅回遊魚が捕獲されることで、従来食べられていなかった魚種が市場に出回ることがあります。これにより、新しい料理や食文化が発展する可能性があります。しかし、これらの魚が一時的な存在である場合、長期的な食文化の変化にはつながりにくいことがあります。
- 食の安全への懸念: 新たに漁獲された死滅回遊魚が毒を持つ可能性がある場合や、食の安全性に関する情報が不足している場合、消費者に不安を与えることがあります。特に、毒魚や寄生虫を持つ魚が市場に流通した場合、健康リスクが増大します。
5. 地球温暖化との関係
死滅回遊魚の出現は、地球温暖化の進行とも関連しています。水温の上昇により、魚の生息域が変化することで、これまで見られなかった地域で南方系の魚が増加する可能性があります。
- 生態系の長期的変化: 水温が持続的に上昇することで、南方の魚が北方で定着する可能性があります。これにより、死滅回遊魚が一時的な現象ではなく、長期的に定着することが懸念されています。この場合、北方の生態系全体が再構成される可能性があり、在来種の減少や絶滅が問題となります。
- 漁業資源の再配置: 温暖化による海水温の変化は、漁業資源の分布にも大きな影響を与えます。従来、北方で漁獲されていた魚種が南方に移動し、逆に南方の魚が北方で繁殖するようになると、漁業の構造が大きく変わる可能性があります。これにより、漁業者が新たな技術や知識を必要とする一方で、伝統的な漁業が衰退するリスクもあります。
まとめ
死滅回遊魚は台風や黒潮の影響で強い潮の流れに逆らえない
魚の幼生が流され本来の生息域から抜け出してしまった魚の事を言います。
2017年に黒潮の流れが大きく蛇行したりもしているので死滅回遊魚は今後増えていくかもしれない。
地球温暖化の影響か越冬して2月ごろでも死滅回遊魚が見られたりする事もあるらしい
かなり面白い、地味に黒潮の流れが大きく変化していたのはビビるな
参考動画
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