動物の雑学

尿路結石は“生きた真珠”だった?なぜ結石が出来るのか?PNAS報告が示す新常識と臨床への影響

尿路結石は「食生活のせい」と思われがちです。

ところが最新の研究で、結石の内部に生きた細菌やバイオフィルムが埋め込まれていることが示されました(Wongら, PNAS 2026)。

この発見で、なぜ再発する人としない人の差が説明しやすくなったと考えられています。

 

尿路結石について常識が覆ったそうなので解説していきます。

 

なぜ結石の中に細菌がいるのか

従来の説明は、尿中のカルシウムやシュウ酸が化学的に結晶化して石になるというものでした。

最新の顕微鏡解析では、結晶層の間に細菌が作るネバネバした集合体(バイオフィルム)が見つかっています。

バイオフィルムは結晶の「核」になり、そこに層状にミネラルが沈着していくと考えられています(Wongら, PNAS 2026)。

臨床上は尿が無菌でも、石の内部は別である点が重要です。

 

 

どう調べたのか(簡単に)

研究チームは蛍光顕微鏡や電子顕微鏡で結石の微細構造を観察しました。

細菌のDNAやバイオフィルムの成分が結晶層の内部に検出されたため、単なる付着物ではなく構成要素の一部であると結論づけられています。

 

 

真珠に似ているって本当?意外な共通点

貝が異物を真珠層で包む仕組みと、結石がバイオフィルムを核にして層を重ねる構造は非常に似ています。

どちらも「取り除けないものを層で包んで隔離する」という生物の戦略です。

 

ただし真珠は貝の制御された分泌で美しくできあがるのに対し、結石は体内での制御が不十分で痛みや感染という弊害を招きます。

興味深いのは、割ることで中の“核”が露出し感染リスクが高まる点で、これは臨床に即した重要な示唆です。

 

 

どちらも異物を隔離する仕組みであり他の動物にも備わっている機能。

 

 

再発する人とならない人の違いが説明できる

今までは再発する原因がわからなかった、遺伝?生活習慣?といろいろな議論がされていました。

 

 

食事や体型が似ている二人でも、結石の発生に差が出るのは「ミネラルの量」だけでは説明できません。

新モデルでは「結石の核となるバイオフィルムが腎内に定着しているかどうか」が分岐点になります。

 

核が残る人は、ミネラル条件が整うたびに層が積み重なりやすく、再発しやすいと考えられます。

一方で核が存在しない人は、同じ食生活でも石が育たない可能性があります。

 

 

医療と治療へのインパクト

この発見は治療方針にも影響を与える見込みです。

従来は主に食事や水分管理が中心でしたが、今後は腎内の微生物叢やバイオフィルムを標的にした予防法が検討されるでしょう。

 

加えて、砕石術などで結石を破砕する際の感染予防や術前評価のあり方も見直される可能性があります。

ただし、どの菌が決定的か、抗菌療法が予防に有効かはまだ研究段階です。

 

10年後くらいには治療方法が全く変わるかも?

 

注意しておきたい誤解と現状の限界

「細菌がいる=すべて感染症扱い」という短絡は避けるべきです。

結石内部の細菌は必ずしも外に出て病気を起こすとは限りません。

 

また、抗生物質の乱用は別の問題を招く可能性があり、予防策として即座に抗菌投与が推奨されるわけではありません。

今回の研究は新しい視点を提供しますが、臨床ガイドラインが変わるには追加のエビデンスが必要です。

「尿路結石が“生きた真珠”のようにできる」という話は、日常の疑問を新しい角度で解く小さな発見です。

誰かに話したくなるネタとしても、医療的な示唆としても興味深い変化だと言えるでしょう。

 

ではでは(^ω^)ノシ

 

参考論文
Wong, G. C. L., Schmidt, W. C., Mousavi, A., Li, J., et al. (2026). Intercalated bacterial biofilms are intrinsic internal components of calcium-based kidney stones. Proceedings of the National Academy of Sciences. DOI: 10.1073/pnas.2517066123. (PubMed ID: 41587311)

 

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