江戸の町は木造家屋が密集しており、ひとたび火事が起こると瞬く間に延焼が広がりました。
そこで登場したのが、現代のホースや消防車とはまったく異なる“人海戦術”と“破壊消火”を支えた道具の数々です。
本記事では、まず道具の一覧と火消しの手順を示し、その後に代表的な道具をひとつずつ詳しく解説していきます。
1. 江戸時代の火消し道具一覧
火消し道具はこんな感じです
- 纏(まとい)
- 鳶口(とびぐち)
- 刺又(さすまた)/大刺又
- 龍吐水(りゅうどすい)
- 水鉄砲(みずでっぽう)
- 玄蕃桶(げんばおけ)
- 大団扇(おおうちわ)
- 半鐘(はんしょう)・拍子木(ひょうしぎ)・ラッパ
2. 江戸流・破壊消火の手順
- 出動&集合
- 半鐘の音で町火消し(いろは48組)が出動。
- 最速で到着した組の「纏持ち」が屋根に登り、消口を宣言。
- 指揮・連携の確立
- 纏が掲げられた場所に他の組が集結。
- 組頭から作業員へ破壊箇所や役割を号令。
- 建物破壊作業(破壊消火)
- 鳶口・刺又・大槌・大のこぎりなどで風下の家屋を解体。
- 燃料(可燃物)を物理的に断ち、火の広がりを止める。
- 水掛け援護
- 龍吐水や水鉄砲、玄蕃桶によるバケツリレーで作業員の安全確保。
- 火の粉や粉塵を抑え、延焼防止を補助。
- 延焼停止確認&鎮火
- 防火帯が完成したら、残り火の始末。
- 完全に火勢を鎮めて活動終了。
3. 各道具の詳細解説
3.1 纏(まとい)
- 構造・特徴
- 全長約1.8 m、重さ15~20 kgの長柄に、各組固有の房飾り(馬簾)や紋所を付属。
- 役割
- 消口の宣言:纏を振って「ここを拠点に破壊消火開始」を示す。
- 指揮標識:仲間や応援部隊への集合合図。
- 士気高揚:デザインで所属を誇示し、結束力を強化。
火消しの絵を見ると纏をもった男が屋根に立っていたりするがそれは
「この建物は壊さない」という目印の役割もある
3.2 鳶口(とびぐち)
- 形状
- 鋭いくちばし状の先端が金属製。
- 用途
- 屋根瓦や柱、壁板を引きはがし、建物を破壊。
- ポイント
- 解体作業の要。とび職出身の技術者が熟練の手さばきで扱った。
3.3 刺又(さすまた)/大刺又
- 形状
- 棒の先に二又または三又の金具が付く。
- 用途
- 大きな面を一度に押し広げたり、壁材をこじ開ける。
- 使い分け
- 鳶口で細かく引き剥がし、刺又で大まかに押し広げるコンビネーション。
3.4 龍吐水(りゅうどすい)
- 構造
- 木製の手押しポンプ。タンクに水を貯え、レバー操作で射流。
- 特徴
- 射程は15~20 m程度。威勢づけや作業員の冷却が主目的。
3.5 水鉄砲(みずでっぽう)
- 仕組み
- 携帯型の簡易ポンプ。吸い上げて押し出す構造。
- 導入時期
- 幕末期(1830年代以降)に町火消しが常備。
3.6 玄蕃桶(げんばおけ)
- 用途
- 大きな木桶を担いで現場へ水を運搬。
- 連携
- バケツリレーの一翼を担い、龍吐水や水鉄砲への給水源となった。
3.7 大団扇(おおうちわ)
- 用途
- 火の粉や煙を扇いで作業員を保護。
- 素材
- 紙や薄板で作られ、濡らして使うことも。
3.8 半鐘(はんしょう)・拍子木(ひょうしぎ)・ラッパ
- 役割
- 火災発生や緊急度の合図、部隊間の連絡手段。
- 運用
- 高所の鐘楼から地域へ警告。拍子木やラッパで現場の細かい指示を伝達。
4. まとめ
江戸の火消しは、水に頼らず「燃料を断つ」破壊消火を基本とし、纏をはじめとする道具と組織的な連携で大都市の火災と戦っていました。
現代の科学消防とは異なる歴史的知恵の数々は、今も「出初式」などでその姿を伝えています。
火消し道具一つひとつに込められた工夫と技術、その背後にある人々の熱意を想像しながら、江戸時代の消火文化に思いを馳せてみてください。
ではでは(^ω^)ノシ
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