「未来にメッセージを残す」――タイムカプセルという行為は、誰でもワクワクするロマンがある。
ところで、この習慣っていつからあるんだろう? 実は答えはひとつじゃない。
この記事では「起源はどこか」「近代のタイムカプセルはいつ広まったか」「日本での広がり」まで、分かりやすく整理してみるよ。読後に、自分で作りたくなるはず。
1. 起源をどう見るか — 2つの視点
タイムカプセルの「起源」を論じるときは、次の2つを区別する必要がある。
- 広義の起源(思想):未来に何かを残すという発想そのものは古代から存在する。儀礼的・宗教的な埋納(基礎埋納・経塚など)がその代表だ。
- 狭義の起源(現代的定義):「開封予定日がはっきり決められ、将来の人に当時の生活やメッセージを意図的に伝える箱」としてのタイムカプセルは、19世紀〜20世紀に形を成す。
要するに、「保存する行為」は古くからあるけれど、「将来開封するための箱(=今われわれが思うタイムカプセル)」は近代以降の文化だ。
2. 古代の“先祖”たち — 経塚や基礎埋納
古代メソポタミアやエジプト、日本の経塚などでは、寺院や神殿、墓の基礎に銅像や経典、壺などを埋める慣習があった。
これらは建物の安穏や供養、宗教的意味合いが強く、原則として「いつか開けるため」に埋められたわけではない。
つまり「未来に残す」という精神は共通しているが、目的が現代のタイムカプセルとは違う点に注意。
3. 近代に現れた「計画されたタイムカプセル」
近代になり、「未来に開けることを前提に」作られた箱が記録に現れるようになる。
- 1876年:Century Safe(フィラデルフィア)
1876年の万国博(米・フィラデルフィア)で作られた“Century Safe”は、現代的な意味で最も古い計画的タイムカプセルの一例とされる。中には当時の日用品や写真、書類が詰められていた。 - 1930年代〜1940年:言葉と概念の確立
「time capsule(タイムカプセル)」という呼び名が広まったのは1930年代後半。特に**Westinghouse(ウェスティングハウス)**が1938〜1939年のニューヨーク万国博覧会のために作ったタイムカプセルが世に知られるきっかけになった。彼らのカプセルは開封年を何千年先まで設定するなど、壮大な“未来へのメッセージ”だった。 - Crypt of Civilization(オグレソープ大学)
さらに大スケールの例として、ジョージア州オグレソープ大学が1936〜1940年に作った「Crypt of Civilization」は、数千年単位の保存を目標に組まれたもので、現代タイムカプセル文化の重要な先駆けだ。
Century Safe(フィラデルフィア)は民間の人々から記念品を集めた鉄の金庫
ちなみにCentury Safeは計画としては失敗している。
製作者: アナ・ダイム夫人(Mrs. Anna Deihm)で1879年、この金庫を連邦議会に寄贈しようとしましたが、下院は受け入れたものの、上院が拒否したため、計画は実現しませんでした。
だから現代のタイムカプセルが広まったのはニューヨーク万国博覧会というわけです。
4. 市民文化としての普及(20世紀〜現在)
20世紀に入ると、学校の卒業記念や都市の記念事業、企業プロジェクトなどでタイムカプセルが多用されるようになった。
*100年後に開ける“Century Boxのように、地域コミュニティ単位で時間を超えたメッセージを残すのが定番だ。
例えば、デトロイトの「Detroit Century Box(1900→2000)」は市長や市民の手紙・写真を100年後に公開した有名な例。
5. 日本での大規模プロジェクト — EXPO'70 の影響
日本では1970年の大阪万博(EXPO'70)でのタイムカプセルプロジェクトが大きな転換点となった。
パナソニック(当時は松下電器)などが行った大規模埋設は、タイムカプセルを市民文化として定着させる役割を果たした。
以降、学校の卒業記念や地域行事での埋設が一般化していく。
6. 年代順・主要な例(ざっくり年表)
- 紀元前〜中世:基礎埋納・経塚(メソポタミア、エジプト、日本の経塚) — 「保存」の思想。
- 1876年:Century Safe(フィラデルフィア万国博) — 近代的「計画された」最古級。
- 1936–1940年:Crypt of Civilization(オグレソープ大学) — ミレニアム規模の保存。
- 1938–1939年:Westinghouseのタイムカプセル(NY万博) — 「time capsule」という語の普及に寄与。
- 1900→2000:Detroit Century Box — 市民参加型の百年箱の実例。
- 1970年:EXPO'70(大阪)タイムカプセル — 日本での普及に大きく貢献。
7. 結論:起源は“古い”けれど、現代の形は近代発祥
まとめると、「未来に何かを残す」発想自体は古代にまで遡るが、「開封日を決めて未来の人に見せるための箱=現代のタイムカプセル」は19世紀後半〜20世紀に実用化・普及した。
言葉としての「タイムカプセル」は1930年代に確立し、万博プロジェクトや大学の大規模保存がその普及を後押しした、というのが学術的にも妥当な整理だ。
地面に何か埋めて保存するというのは昔からあったがタイムカプセルのように大人になったら掘り出して開けようみたいなものは近代になって生まれたものです
万博がきっかけでタイムカプセルが生まれたというのは面白いですね
まさに人類の歴史って感じがしてすごくいい
ではでは(^ω^)ノシ
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