盆栽を剪定するとか開拓のために木を伐採するなど剪定と伐採は全く違う意味を持ちます。
剪定というのは枝を切って形を整える事、伐採は木の幹を切ってしまう事。
剪定は木自体は残る、伐採は根っこしか残らない作業。
公園の木を剪定したというニュースで木を切るのは自然破壊だ〜と騒ぐ人がいますがかなり恥ずかしい。
剪定と伐採の違いについて書いていきます。
剪定(せんてい)とは?
剪定とは枝を切る事で形を整えたり、栄養の取り合いになって果物が美味しくなくなるのを防ぐ作用がある。
果実を美味しく育てるため枝を切って栄養が集中しやすくなるというわけだ。
切る枝は
- 枯れ枝
- 徒長枝
- 平行枝
- 下垂枝
- 競合枝
- 交差枝(枝と枝同士が交差している状態)
- 病気枝
- からみあった密度の高い状態になった枝
- ひこばえ
徒長枝(とちようし)は樹木の幹や太い枝から上方に向かって真っ直ぐに長く太く伸びる枝の事で園芸用語
ひこばえは樹木の根元や切り株から生えてくる若芽(わかめ)の事。
日本庭園とかでは綺麗で独特な形に整えられた木があるし、美味しい果物を育てるには競合枝を切る必要がある。
盆栽などの剪定は植木鉢の中でいかに大木のように見せるかという作業になる。
形を整え、細い枝を切って太い枝を作りつつもバランスを整える。
素人ながら調べたけど、簡単に言えばそんな感じ。
庭の生垣なんかも庭師さんが綺麗な四角に整えてくれていたりする。
① 樹勢維持(木を弱らせないための剪定)
木は放置すると、
・枝が増えすぎる
・日光が内部まで届かない
・風通しが悪くなる
という状態になります。
すると
光合成効率が落ちる
内部の枝が弱る
木全体が消耗する
という悪循環に入ります。
剪定で不要な枝を減らすことで、残した枝に栄養と日光を集中させる。
これは「木を小さくする行為」ではなく、木を長く健康に保つための管理です。
② 病害虫防除(病気を広げないための剪定)
病気や害虫は
枯れ枝
混み合った枝
風通しの悪い部分
に集中しやすい。
そこで
病気枝
枯れ枝
交差枝
密集した枝
を剪定して物理的に病原を取り除く。
これは農薬よりも根本的で安全な対策です。
実際、果樹農家ほど剪定を重要視します。
③ 景観形成(見た目を整える剪定)
日本庭園や公園、生垣の剪定はここが目的。
人工物と自然を調和させる
通行や視界の邪魔にならないようにする
「自然に見える形」を人の手で作る
ここがポイントで、
自然=放置ではない。
日本庭園は特に
「自然をどう美しく見せるか」という文化的技術です。
④ 収量増(果物を美味しくするための剪定)
果樹の場合、枝が多すぎると
実が小さくなる
味が薄くなる
成熟がバラつく
剪定で
「実を付けさせる枝」を選び、
「不要な枝」を落とすことで、
果実の数を減らして質を上げる。
量より質。
剪定は農業技術の核心です。
剪定の歴史
剪定の技術が生まれたのは室町時代、15世紀中頃だと言われています。
室町時代を代表する作庭書「山水並野形図」には、剪定を意味する「すかす」という言葉が使われており
庭木の手入れや剪定の考え方が記されています。
※山水並野形図とは室町時代中期に編纂された庭園に関する秘伝書の事。
江戸時代には、作庭書「築山庭造伝(前編)」にて「木造りの事」としてより技術的に記されております。
「鎌割、鋏割、指割、葉刈などといふ種々の仕事ありけり・・」とあり、「割」は今でいう、「透かし」剪定のことを指し、「刈」は「刈込」のことで、表面を刈り揃えながら押さえ込むという意味です。
ハサミや手、指を使った剪定方法が書かれており現代にも通じる技術。
伐採とは
木を切る事を伐採と言います。
伐採されると切り株しか残らない。
伐採には
- 間伐(かんばつ)
- 除伐(じょばつ)
- 主伐(しゅばつ)
- 択伐(たくばつ)
- 皆伐(かいばつ)
などがありそれぞれ解説していきます。
伐採の役割などもあります。
① 生態系維持(森を殺さないための伐採)
木が増えすぎると森は
暗くなる
下草が消える
生き物が減る
という状態になります。
間伐によって
光が入る
下草が生える
昆虫や小動物が戻る
つまり
伐採=生態系の再起動です。
② 下草再生(土と水を守るため)
下草はただの雑草ではありません。
土壌流出を防ぐ
雨水を溜める
根が土を掴む
下草がない森は
土砂崩れ予備軍。
間伐 → 光 → 下草 → 土壌安定
という流れがあります。
③ CO₂吸収(木は若い方が吸う)
意外ですが、
成長が止まった老木
混み合って弱った木
は、CO₂吸収量が落ちます。
間伐して
若い木を育てる
成長速度を上げる
結果として
森全体のCO₂吸収量が増える。
「木を切る=温暖化促進」は
かなり単純化された誤解です。
④ 災害防止(人命と土地を守る)
倒木リスク
土砂崩れ
河川への流木
これらは
管理されていない森ほど危険。
特に住宅地・道路・河川周辺では
伐採は防災インフラです。
間伐
間伐は多すぎる木を伐採する事で森に陽射しが入るように樹木同士で間隔を空けるための伐採法。
自然環境を守るために行います。
日光が入らない暗い森になる事を防ぎます。
適度な日光が森や林に入らないと新しい植物が生まれない。
下草も生えない、木の成長も遅くなる。
二酸化炭素の吸収力も低下します。
間伐をしないと下草が生えず、ヒョロヒョロなもやし状になってしまいます。
下草がなく、植物の根っこが少ないため水を溜める事が出来ず、土砂崩れを起こしやすくなる。
除伐
除伐は幼齢木の頃に行う不要な木を伐採する事を言います。
変に曲がってしまった木、成長不良の木を切る。
他の雑木を伐採する。
除伐2類と呼ばれるものもあり
目的植樹がある程度決まる時期に空間を確保して、目的植樹の肥大成長を促す。
噛み砕いて言えば育てたい木を植える空間を確保してその木に栄養が集まるようにする事を言います。
主伐
主伐は育った木を木材として使うために伐採する事です。
建築用だったり家具に使われたりする木を伐採する事をいいます。
択伐
択伐は人工樹林でその時に必要な木を抜き切りするやり方、切った後は同じ木を植樹して後継の木にする。
いろいろな木を育てて必要に応じて切るスタイルですね。
ただ、木材を運び出す時に他の木にぶつかってしまう事もある。
皆伐はある区間を決めて全ての木を切ってしまう事を言います。
昔から土地を広げて畑にしたりする時は皆伐でした。
また、開墾が目的ではないなら新たに植樹しておきます。
伐採の歴史
木を切るなんてのは有史以来ありふれた事ですが
間伐などの知識はいつ頃広まったのか?
林業とか森林整備と呼ばれるような技術は江戸時代に発展していった。
飛鳥時代や奈良時代でも木を切っていたし薪にしたり炭にしたりしていただろうし家や神社仏閣を作ったりするのにも使われた。
戦国時代には人工林があったから間伐とかはやっていたと思いますが森林を守ろうという動きは江戸時代からです。
江戸時代に入り国で管理する御林(おはやし)が設定されたりして今の森林保護みたいな概念が生まれた。
ドイツでは16世紀ごろに森林法で間伐に関する記述があるそうです。
そこまで古い技術でもないようだな。
というか間伐なんていう知識が古代からあったら砂漠がこんなに多くなっていないか。
択伐については曖昧な記述しかなくて2百数十年の歴史がある
備長炭を作るためのウバメガシ、カシ等の優良樹種を原木をとるために
森林の集約利用や優良種の保護、改良などに紀州藩が備長炭がほしいために推進された。
という話しらしい。
🌲 剪定(枝を切る) — やるべき(必要な)ケース
✅ ① 樹木の健康・安全を守る剪定
- 枯れ枝・病気枝を取り除く → 病気の広がりを防ぐ(安全確保)
- 枝が重さで折れそうな状態 → 人や物に落下リスクあり
- 枝が道路・建物・電線に触れそう → 危険回避のために剪定必要
→ 怪我や事故を未然に防ぐケースは即対応すべきです。
✅ ② 枝の込みすぎ・風通し改善
木が枝で密になりすぎると
- 栄養が分散して弱る
- 日光が内部に届かない
- 病害虫が繁殖しやすい
こうした木の弱体化・病害リスクを防ぐために、適度に枝を剪定する必要があります。
✅ ③ 果樹や庭木の生産・景観目的
- 果実を美味しくする剪定
- 形を整える剪定
- 生垣や盆栽のデザイン
これらは単なる意匠以上に、木の構造や成長をコントロールする必要があります。
「形を整える」こと自体が木を健康にする意味を持つことも多いです。
✅ ④ 若木の育成目的の剪定
新しく植えた木や若木は、将来の強い幹や枝を育てるために
早めの剪定で形を作る必要があります。
これを「形成剪定」と呼び、木の将来価値を高めます。
❌ 剪定 — やってはいけない(避けるべき)ケース
🚫 ① 生育シーズンの真っ盛りに強剪定
- 春の成長期(活動が活発な時)
- 夏の猛暑時
この時に大幅に剪定すると、
傷口が治りにくい、病害が入りやすい、弱らせてしまうというリスクがあります。
🚫 ② 鳥の繁殖期・動植物の保護期間中に大規模剪定
地域によっては「鳥の営巣期間」などで
法律的に大規模な剪定が禁止されている場合があります。
(例:欧州の自然保護法など)
🚫 ③ 不要に枝を切りすぎる剪定(過度剪定)
枝を大量に切りすぎると、
- 栄養バランスが崩れる
- 木が衰弱する
- 回復力が落ちる
これが大問題になります。剪定量は3分の1以内に抑えるのが基本です。
🚫 ④ 木の種類や性質を無視したタイミングで剪定
樹種によっては、剪定によるダメージが大きい木があります。
例:
- 春咲きの花木 → 花芽が落ちると翌年咲かない
- サップがよく出る木 → 春の剪定で病害が入りやすい
- 冬に剪定すると凍害のリスクがある木
こうした木は適切な時期を選ぶ必要があります。
🪓 伐採(木を倒す) — やるべきケース
✅ ① 危険木の除去
- 根元が腐って倒れそう
- 枝が落ちるリスクがある
- 道路・家屋に危険が及ぶ可能性
このような「事故リスクがある木」は
放置より伐採が安全です。
✅ ② 道路・建物・インフラ整備
計画的な道路拡張・建築工事・電線維持などでは
周辺の樹木を伐採して安全確保やスペース確保が必要です。
ただし法的な手続き・届出が必要なケースもあります。
✅ ③ 森林管理・間伐目的
伐採は単なる破壊ではなく、森全体の健康と再生のためにも使われます。
たとえば…
- 日光を入れるための間伐
- 弱い木を除く除伐
- 将来の良材育成のための主伐
こうした伐採は、
森の生態系を守るための管理行為です。
❌ 伐採 — やってはいけないケース
🚫 ① 目的が曖昧な伐採(むやみに切る)
伐採は「木を根本から取り除く行為」なので、
目的のない伐採は環境負荷を高めるだけです。
都市開発で安易に伐採すると
- ヒートアイランドの悪化
- 生態系の破壊
などの問題につながることもあります。
🚫 ② 法令・地域条例を無視した伐採
日本でも自治体の条例で
都市緑化法・保護樹木管理規定などがあり、
伐採前に許可が必要なケースがあります。
手続きを無視すると
行政罰や損害賠償につながる場合ありです。
まとめ:剪定と伐採の違い
| 行為 | やるべきケース | 避けるべきケース |
|---|---|---|
| 剪定 | 安全確保・健康維持・形作り | 成長期・過度剪定・繁殖期 |
| 伐採 | 危険除去・林業管理 | 目的不明・法令無視 |
簡単に言えば枝を切るのが剪定
木を根本から切り倒すのを伐採
枝を切る剪定と伐採では全く意味が違う
剪定は見栄えを整えたり病気になっている枝を切ったり
栄養を効率的に果物へ送るために枝を切る。
いくら剪定しても木が根元から無くなる事はない
伐採は木を切り倒して木材にしたりしてしまう事
剪定については室町時代から技術体系が作られた感じだけど
伐採に関する歴史はネット上にあんまり記述がない。
木を切る、森林を管理する技術が確立したのって意外と歴史が浅いのにびっくりしました。
この記事を書いたのは公園の木がオリンピックのために剪定された!
自然破壊だ!とか言ってる人がいたので自分で調べて情報を整理してみました。
ではでは(^ω^)ノシ
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