料理本でよく見かける「調味料を入れる順番」。
とくに煮物では、砂糖→塩→酢→醤油→味噌という流れが定番とされています。
なぜこの順番なのか。この方が味が染み込みやすいと聞いたことがある人も多いでしょう。
実はその説明、半分は正しく、半分は誤解と考えられています。
背景にあるのは、食材の中で起きている“半透膜”と浸透圧の働きです。
砂糖は塩よりも分子が大きい?
和食の基本「さしすせそ(砂糖→塩→酢→醤油→味噌)」は科学的な根拠があります。
✔砂糖が最初の理由
砂糖の分子は塩より大きい
食材に染み込むのに時間がかかる
だから最初に入れる
実際、砂糖分子は塩の約6倍の大きさと説明されることもあります。
👉 イメージ
砂糖=大きいボール(入りにくい)
塩=小さい粒(すぐ入る)
🧂塩を後にする本当の理由(ここ重要)
塩は分子が小さく、しかも食材を引き締める作用があります。
もし先に塩を入れると…
食材の細胞が締まる
後から砂糖が入りにくくなる
甘みが中まで染みない
という現象が起きます。
👉 だから
砂糖 → 塩
の順が理にかなっているわけです。
調味料の順番は分子サイズだけではない
一般的には、砂糖の分子は塩より大きいので先に入れる、と説明されることがあります。
たしかに分子の大きさは、味の入り方に一定の影響を与えるとされています。
ただし、料理の現場でより重要なのは別の要素です。
それが、食材の細胞膜が持つ「半透膜」という性質です。
半透膜とは、水などの小さな分子は通しやすく、溶けている物質は通しにくい膜のこと。
野菜や肉の細胞膜も、この性質を持つと考えられています。
つまり調味料の順番は、単純な分子の大小比較では説明しきれません。
食材の中では浸透圧が働いている
食材に調味料を加えると、細胞の内外で濃度差が生まれます。
このとき、水は濃度の低い側から高い側へ移動しようとします。
これが「浸透圧」と呼ばれる現象です。
浸透圧で起きる変化
外側の調味料濃度が急に高くなると、細胞の中の水分が外へ引き出されます。
すると細胞は縮み、組織が締まった状態になります。
ここが、調味料の順番を考えるうえでの重要なポイントです。
なぜ砂糖を先に入れるのか
砂糖を先に入れる理由は、「味を入れる準備を整えるため」と説明されることが多いです。
砂糖は塩に比べて浸透圧の効き方が穏やかです。
そのため、細胞内の水分が急激に外へ出にくいと考えられています。
結果として、
- 食材が急に締まりにくい
- 後から調味料が入りやすい
という状態になりやすいのです。
昔からの経験則ですが、現在では浸透圧の観点からも理にかなっているとされています。
塩を先に入れると何が起こる?
ここで一つ、よくある誤解に触れておきたいところです。
「塩は分子が小さいから後にする」と単純に理解されがちですが、本質はそこではありません。
塩分濃度が急に高くなると、浸透圧の作用が強く働きます。
すると細胞内の水分が外へ移動し、食材の組織が引き締まります。
一度締まった細胞には、後から味が入りにくくなると考えられています。
このため、
- 先に砂糖で下地を作る
- その後に塩で味を整える
という順番が合理的だとされてきました。
後半の調味料は“香り”が主役
酢や醤油、味噌が後半に入れられる理由は、前半とは少し性質が異なります。
これらは発酵由来の香り成分を多く含んでいます。
長時間加熱すると、風味が飛びやすい性質があります。
そのため、味の浸透というより、
- 香りを残す
- 風味を整える
という目的で後入れされることが多いです。
いわゆる「さしすせそ」は、浸透圧と香りの両方を踏まえた経験則の集積といえるでしょう。
実はすべての料理に当てはまるわけではない
ここも意外に知られていない点です。
調味料の順番は万能ルールではありません。
炒め物や短時間調理では、同時に入れても大きな差が出ない場合があります。
また、下味をつける工程では、なじませ時間のほうが重要になるケースもあります。
料理人の間でも、「必ず守るべき絶対法則」というより、
食材や調理法に応じた目安として使われているのが実情です。
調味料の順番には、昔ながらの知恵と細胞レベルの科学が重なっています。
台所の小さな工夫の裏側に、半透膜と浸透圧が働いていると知ると、いつもの煮物も少し違って見えてくるかもしれません。
ではでは(^ω^)ノシ
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