言葉の雑学

日本全国に同じ地名がある理由 — なぜ“赤坂”や“丸子”はあちこちにあるのか

日本の地図を眺めると、同じ名前の町や地区がいくつも点在していることに気づきます。

赤坂、大久保、富士見、丸子――一度見始めると枚挙にいとまがありません。

本記事では「なぜ同じ地名が全国に存在するのか」を歴史・地理・社会の観点から掘り下げ、具体例を通じてその背景を分かりやすく解説します。


1. 最も大きな理由:地形・自然から生まれた“説明的地名”

日本の地名の多くは、その土地の地形や自然現象、景観をもとに付けられてきました。例えば:

  • 赤坂:赤土が露出する坂道や崖が由来とされる例が多い。
  • 富士見:富士山が見える場所に付けられる。
  • 大久保:大きな窪地(久保)がある場所の意。

この種の「説明的地名(記述的地名)」は、同じ自然条件がある限り全国どこでも発生し得ます。

つまり地形や風景が似ている場所が多いため、結果的に同名が多数生まれるのです。

 

 

 

 

2. 人の移動と“地名の持ち込み” — 新天地に故郷の名前を付ける習慣

明治期の開拓や古来の移住・交易など、人の移動に伴って故郷の地名が新しい土地に持ち込まれるケースが多くあります。

移住者が新天地を“故郷の延長”として認識したい心理や、仲間を結束させるために馴染みのある名前を付けることは自然な行為です。

結果として、本来は一か所にしかなかった地名が、移住や開拓に伴って複数の場所に複製されていきます。

 

北海道みたいに入植者が日本全国から集まった地域だと

 

北海道久遠郡せたな町北檜山区徳島(徳島)

北海道久遠郡せたな町北檜山区愛知(愛知)

北海道久遠郡せたな町北檜山区若松(福島県の若松)

 

みたいな感じで地名に愛知とか徳島とか地名が入る。

 

 


3. 情報流通の乏しさ——「遠くの同名は気にしない」社会

過去の人々は現在ほど広域の情報にアクセスできませんでした。

江戸時代やそれ以前は、地域の行動範囲が狭く、よそに同名地名があること自体が知られないか、知られていても生活や行政に問題を起こさない限り関心を持たれませんでした。

このため「各地で独立に同じ名前が生まれ、定着する」土壌ができあがったのです。

 

江戸時代とかだと、秋田の人間が鹿児島の地名を聞く機会なんてめったにない

江戸の街なら参勤交代して来たあちこちの武士同士で会話するだろうけど

問題にならなかった。

 

 


4. 行政区画・河川の変遷が生んだ“分断と重複”

河川の流路変化や行政境界の移り変わりによって、もともと一つの集落が別の県や市にまたがって残ることがあります。

具体例として、多摩川の流路変動により、かつては一つだった丸子の集落が現在では東京都側と神奈川県側に分かれている事例があります。

流路変更や堤防工事、地割りの変化は「同じ地名が別県に残る」主因の一つです。

 

 

 


5. 古代〜中世の“職能集団”と部(べ)制度

古代日本には特定の仕事を職業としている集団(部民)があり、彼らの名が地名に残る例があります。

たとえば「丸子(まりこ)」は古代の丸子部(渡し守や木地師などを含む職能集団)に関連すると考えられており、川辺や渡河地点に“丸子”という地名が残るケースが知られています。

このように、職能や集団名が地名化することで、同じ機能を持つ地(=川の渡し場など)に同じ名前がつくことがあります。

 

 


6. 表記・読み方の統一と近代化の影響

漢字表記や読み方は時代や地域で揺れます(例:まりこ/まるこ、鞠子/丸子)。

近代に入って表記が統一される過程で、別個に存在していた地名が同じ表記に収斂することもあります。結果的に見た目上の“同名”が増えるのです。

 

 


7. 具体例:丸子(まりこ/まるこ)の場合

丸子は全国に散らばる地名の好例です。共通するポイントは「川や渡河点」「街道との接点」であること。

静岡の旧・鞠子宿(東海道の宿場)や、東京・神奈川の丸子(多摩川流域)など、川と深い関係を持つ地が多く、古代の職能集団や渡しの仕事に由来する可能性が指摘されています。

このケースは、地形(川)+職能(渡し守)+流路変遷(分断)の三要素が組み合わさり、結果的に“同じ地名が複数残る”好例です。

 

 


8. 現代に残る“同名の市町村が少ない”理由

行政名(市・町・村)は近代以降の行政手続きで重複が問題視されるため、同じ名前の行政区が増えないよう配慮されています。

だから「市」レベルで完全に同じ名前のものは少数派です(ただし例外は存在します)。

一方で「町名・字名・地区名」といったレベルでは歴史的経緯により多数残っています。

 

日本全国へ旅行に行ける人が増えたし昔よりも情報が集まりやすい中で地名が似ているのはデメリットがある。

 


9. 注意点:一つの地名でも由来は地域ごとに異なる

重要な点は、同じ名前でも由来が必ずしも同じではないことです。

たとえば「赤坂」は赤土の坂が由来のこともあれば、別の由来や伝承があることもあります。

地名の確定的な由来を主張する際には、地域ごとの史料や古文書、郷土史を確認する必要があります。

 

その土地にはその土地の歴史がある、ただ同じ日本語を使う人が意味を込めて名付けをした結果

似たような地名が生まれてしまう事もあるという事ですね

 


まとめ:地名の重複は“自然×人間×歴史”が生んだ必然

同じ地名が日本全国に存在する理由は単純な一因ではなく、以下の要素が絡み合った結果です:

  • 地形や景観といった自然条件(説明的地名)
  • 人の移動と故郷の名前の持ち込み
  • 情報流通の乏しさ(遠隔重複の容認)
  • 河川の流路変動や行政境界の変化
  • 古代・中世の職能集団(部民)の痕跡
  • 表記・読み方の近代的統一

表面的には「同じ名前」に見えても、その背景には地域固有の歴史や暮らしが詰まっています。

地名を掘り下げることは、その土地の自然・経済・人々の営みを知ることにつながる──そんな魅力があります。

 

ではでは(^ω^)ノシ

 

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