ラジオをつけると「AM」「FM」ってチャンネル名みたいに並んでますよね。
なんとなくAMはニュース、FMは音楽、くらいのイメージはあると思いますが、なぜ2種類あるのかを技術と用途の両面から分かりやすくまとめます。
普段ラジオは車でしか聴かない、という人にも読んでもらえるようにシンプルに書きました。
まず結論:用途に合わせた“変調方式”の違いが理由
ラジオにAMとFMがあるのは、音声を電波に載せる方法(変調=モジュレーション) が違うからです。
変調方式の違いがそのまま「届きやすさ」「音質」「ノイズ耐性」などの特徴に直結し、用途ごとに使い分けられてきました。
変調って何?超かんたん解説
- AM(振幅変調):電波の振幅(強さ)を音声の波形のように変えて送る方式。
- FM(周波数変調):電波の周波数(波の間隔)を音声情報に合わせて変える方式。
違いは「電波のどの部分を情報で動かすか」。この違いが、以降の特徴につながります。
AM の特徴 — 「遠くまで届く」が最大の武器
- 届きやすさ:低い周波数帯を使うため、地表を伝ったり電離層で反射して遠距離まで届きやすい。夜間は特に届き方が良くなる。
- コスト:送受信の仕組みが比較的シンプルで済む。
- 向いている用途:全国ニュース、トーク、災害情報など“広域に確実に伝えたい”放送。
- 弱点:雷や家電などの雑音に弱い、音質(特に高音)があまり良くない。
要するに「遠くまで、確実に届ける」がAMの強みです。
FM の特徴 — 「音が良い」「ノイズに強い」
- 音質:周波数変調はノイズの影響を受けにくく、音がクリアに聴こえる。高音域まで再現しやすいので音楽番組に向く。
- 範囲:波長が短く直進性が高いため、送信局の近辺でのカバーがメイン。山や建物の影になると届きにくい。
- 向いている用途:音楽、ステレオ放送、地域密着型の番組。
- 弱点:カバー範囲がAMより狭く、設備がやや複雑(コスト面でAMより高いことも)。
要は「音重視で、近場で聴くならFMが有利」です。
歴史的背景も関係している
AMはラジオ黎明期から使われてきた方式で、インフラ(送信所や受信機)も早くに整いました。
FMは後発で主に「音質改善」のために普及していった経緯があります。
だから現在も両方が残っているわけです — 技術的に完全に一方が不要になったからではなく、「用途で住み分けができている」から。
最近の動き:ワイドFM(AMの補完)
近年は「ワイドFM」と呼ばれる仕組みで、AM放送の内容をFM帯でも流す取り組みが進んでいます。
これにより、AMの“雑音に弱い”という欠点をFMの帯域で補い、よりクリアに聴かせることが可能になりました。
災害時の伝達や、AMリスナーの聴取環境改善が目的です。
AM と FM の違い【比較表】
| 項目 | AM(振幅変調) | FM(周波数変調) |
|---|---|---|
| 正式名称 | Amplitude Modulation | Frequency Modulation |
| 変調方式 | 電波の振幅(強さ)を変える | 電波の周波数(波の間隔)を変える |
| 使用周波数帯(日本) | 約526~1606kHz(中波) | 76~95MHz(超短波) |
| 電波の届き方 | 遠くまで届きやすい(回り込み・反射) | 直進性が強く近距離向き |
| 受信可能範囲 | 広域(夜間は特に広がる) | 地域限定になりやすい |
| 音質 | 低め(高音が削られやすい) | 高音質でクリア |
| ノイズ耐性 | 弱い(雷・電気ノイズに影響されやすい) | 強い(雑音が入りにくい) |
| ステレオ放送 | 基本的に不可 | 可能 |
| 向いている番組 | ニュース、トーク、災害情報 | 音楽、エンタメ番組 |
| 設備・仕組み | シンプルでコストが低い | やや複雑でコスト高め |
| 歴史 | ラジオ初期から普及 | AMの後に音質改善目的で普及 |
違いを一言でいうと
- AM:
👉 音質よりも「届く距離」を重視した方式 - FM:
👉 距離よりも「音のきれいさ」を重視した方式
この思想の違いが、今でもAMとFMが共存している理由です。
なぜ AM は遠くまで届くのか?
AMは波長が長く、
- 地面に沿って進む
- 山や建物を回り込む
- 夜間は電離層に反射してさらに遠くまで届く
といった性質があります。その代わり、振幅そのものを使うため、雷や家電のノイズも一緒に拾ってしまいます。
なぜ FM は音が良いのか?
FMは音の情報を「周波数の変化」で表すため、
- 電波の強さが多少乱れても音に影響しにくい
- 高音域まで再現しやすい
というメリットがあります。ただし直進性が強いため、送信所から遠くなると急に聞こえなくなることがあります。
どちらが優れているわけではない
AMとFMは「新旧」や「上下関係」ではなく、
目的別に最適化された放送方式です。
- 広い地域に一斉に情報を届けたい → AM
- 音楽を良い音で楽しみたい → FM
だからこそ、今でも両方が使われ続けています。
どっちを使えばいい?シチュエーション別ワンポイント
- 車で遠出して地方局を拾いたい → AMを試す価値あり(夜間は特に)。
- 自宅や都会で音楽を楽しみたい → FMで音質重視。
- 災害時の情報は両方チェック、ラジオアプリ(radiko等)も活用を。
災害時に AMラジオが重要 とされる理由
災害時にAMラジオが今でも重視されるのは、音質ではなく「生き残りやすさ」と「届きやすさ」が圧倒的に強いからです。
AMが災害に強い理由
結論から言うと:AMは「最後まで残るメディア」だから。
理由は主に4つあります。
1. 電波が遠くまで届く
AMは中波帯を使い、
- 地面に沿って進む(地表波)
- 夜間は電離層で反射して遠距離まで届く
そのため、送信所が無事なら広範囲に情報を届けられる。
2. インフラが壊れても受信しやすい
- スマホ → 基地局・通信網・電源が必要
- ネット → 回線・サーバーが必要
一方AMラジオは、
- 乾電池1本
- 簡易アンテナ
で受信できる。
👉 停電・通信障害に強い。
3. ノイズが多くても「内容は聞き取れる」
音質は悪くても、
- 人の声
- 避難指示
- 地名・数字
は判別できる。
「きれいに聞こえる」より「確実に伝わる」が重要なのが災害時。
4. 国・自治体の防災設計がAM前提で作られてきた
日本では長年、
- 災害情報
- 緊急放送
- 広域一斉伝達
をAM中心で設計してきた歴史があります。
ワイドFMとは何か?「AM終了説」との関係
ワイドFMとは?
AM放送の内容を、FMの周波数帯でも流す仕組みです。
正式には「FM補完放送」。
なぜワイドFMが始まったのか?
理由はシンプルで、
- 都市部でAMがノイズだらけ
- ビルや家電が増えてAMが聞きづらい
- 若者がAMを聞かなくなった
👉 AMの弱点をFMで補うため
ワイドFMのメリット
- FMなので 音がクリア
- スマホ・カーラジオで受信しやすい
- AM局の番組をそのまま聞ける
じゃあ「AMはもう不要」なの?
結論:不要ではない。
理由:
- FMは遠距離に弱い
- 山間部・広域災害ではAMの方が有利
- 災害時の冗長性(バックアップ)としてAMが重要
👉 AMを捨てるのではなく、FMで補強するという考え方。
つまり
「AM終了説」=現場感覚ではほぼ誤解です。
デジタルラジオ・radikoとAM/FMの違い
radikoは何者?
radikoは
- ラジオ番組を
- インターネット回線で配信しているサービス
👉 電波放送ではない。
AM / FM / radiko の違い【比較】
| 項目 | AM | FM | radiko |
|---|---|---|---|
| 伝送方法 | 電波 | 電波 | インターネット |
| 音質 | 低 | 高 | 非常に高 |
| 遅延 | ほぼなし | ほぼなし | 数十秒遅れる |
| 通信障害 | 強い | 強い | 弱い |
| 停電時 | 強い | 強い | 弱い |
| 受信機 | ラジオ | ラジオ | スマホ・PC |
| 災害時 | ◎ | ○ | △ |
radikoの強みと弱み
強み
- 音質が良い
- 聞き逃し再生
- エリア外聴取(有料)
弱み
- 通信回線が死ぬと使えない
- スマホのバッテリー消費
- 災害時は不安定
👉 radikoは平常時に最強、災害時には弱い
なぜスマホから FMチューナーが消えたのか
結論から言うと、
「技術的に不要になった」+「ビジネス的にメリットがない」
この2つが大きいです。
技術的な理由
実は多くのスマホには、今でも
👉 FMチューナー用のチップ自体は載っている
ケースが少なくありません。
それでも使われない理由は:
● アンテナ問題
- FM受信には物理アンテナが必要
- 昔はイヤホンコードがアンテナ代わりだった
- ワイヤレスイヤホンが主流になり、成立しなくなった
👉 「イヤホン挿してください」が今のスマホ文化に合わない。
● ソフト対応コスト
- 国ごとにFM周波数帯が違う
- 災害放送・緊急割り込みなどの仕様対応が面倒
- OSアップデートのたびに保守が必要
👉 メーカーから見ると「割に合わない機能」。
ビジネス的な理由(こっちが本命)
● 通信を使わない=儲からない
FMラジオは:
- 通信量ゼロ
- キャリアもメーカーも収益にならない
一方で、
- radiko
- Spotify
- YouTube
- ポッドキャスト
👉 通信を使うサービスの方が利益になる
● 「ラジオはアプリでいい」という空気
メーカー側は
「ラジオ?アプリ入れればいいでしょ」
という判断。
結果として、
**FMチューナーは“存在していても使わせない機能”**になりました。
重要ポイント
👉 災害時の強さというFM/AM最大の利点は、
スマホの設計思想とは相性が悪い。
② AMラジオは将来どうなる?(現実的な予測)
よく聞く
「AMはもう終わる」
これは 半分ウソ、半分ホント です。
結論:AMは「縮小」するが「消えない」
理由を分解します。
なぜ縮小するのか
● 設備が古い
- AM送信所は巨大
- 電気代・維持費が高い
- 老朽化が深刻
● 若年層が聴かない
- 音質が悪い
- ノイズが多い
- スマホ世代と相性が悪い
👉 民放としては 経営的に厳しい。
それでも「消えない」理由
● 災害対応インフラとして必要
- 広域一斉放送
- 電力・通信が死んでも届く
- 国・自治体の防災設計がAM前提
● FMだけでは代替できない
- FMは遠距離が弱い
- 山間部・過疎地で不利
- 大規模災害で送信所が分断されやすい
👉 バックアップとしてAMは不可欠。
現実的な未来像
- 平常時
→ FM(ワイドFM)・ネット中心 - 非常時
→ AMが最後の砦
AMは
「日常メディア」から「インフラ」へ役割が変わる
と考えるのが一番近いです。
防災ラジオは何を選ぶべきか
ここはかなり重要なので、結論を先に言います。
結論:最低条件はこの4つ
防災ラジオは
**安さや多機能より「生き残る設計」**が大事。
必須条件
- AM対応(必須)
- FM対応(できればワイドFM)
- 乾電池で動く
- 操作が物理ボタン
これが揃っていないものは、
正直「防災用としては弱い」です。
あると強い機能
- 手回し充電(非常用)
- ライト(夜間避難用)
- アラーム(存在アピール)
- スピーカー内蔵(イヤホン不要)
注意点(よくある失敗)
✖ スマホ連動前提
→ スマホが死んだら終わり
✖ USB充電のみ
→ 停電が長引くと詰む
✖ タッチ操作中心
→ 暗闇・手袋・高齢者に不向き
実用的な考え方
- 普段は使わなくていい
- 年に1回、電池チェック
- 「使わない=失敗」ではない
防災ラジオは
使わないまま寿命を迎えるのが理想
な道具です。
最終まとめ:役割がまったく違う
AM・FM・radiko・スマホ
どれも「上位互換」ではありません。
- 平常時 → ネット最強
- 非常時 → ラジオ最強
- 超非常時 → AMが最後に残る
だからこそ、
ラジオは今でも「古い」ではなく「別枠の技術」です。
- AM:
災害・広域・最後の命綱、遠くへ確実に届ける、話中心向け - FM(ワイドFM含む):
音質改善と日常利用の快適さ 音をクリアに届ける、音楽中心向け - radiko:
平常時の利便性と娯楽性
👉 どれか1つで十分、ではない
👉 全部が「役割分担」している
正直に言うと、
「ラジオは古い」ではなく「ラジオは用途がはっきりしている」
これが実態です。
こうやって見ると面白いですね
ではでは(^ω^)ノシ
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