マグナムと言えばゲームとかで出てくる最強の銃というイメージがあります。
よくジョークで俺のマグナムが火を吹くぜなんて言ったりしますが
実際のところ銃社会じゃない日本人にとって、マグナムって何?という人が多そうです。
マグナム弾という言葉もあるし、意味わからんという方も多いのではないでしょうか?
マグナムという銃はない
マグナムという銃はなくてマグナム弾という弾丸があります。
マグナム弾が撃てる銃にデザートイーグルや「S&W M500」があるというわけです。
決してマグナムという銃があるわけではない
マグナムは弾丸の名前です。
マグナム弾とは?
明確な定義があるわけじゃなくて普通の弾丸よりも強力な弾丸をマグナムと呼んだりします。
マグナムとは元々、ワインボトルのサイズを表す言葉で「マグナム」サイズは1,500mLと一般的な750mLのフルボトルの2倍の容量が入っています。
つまり、普通の弾丸よりも2倍強いみたいな意味合いで使われています。
マグナムを広めたのは映画ダーティハリー?
マグナムという名前が世の中に広まったのは357マグナムや44マグナムという拳銃弾薬がきっかけです。
一般層に名前を広めたのは44マグナムで、ダーティハリーの主人公が使った銃の弾薬として有名になりました。
※ダーティハリーはサンフランシスコを舞台に、職務遂行のためには暴力的な手段も辞さないアイルランド系のハリー・キャラハン刑事が、ベトナム帰還兵の偏執狂的連続殺人犯との攻防を繰り広げるアクション映画
ちなみにダーティハリーは【U-NEXT】で視聴できます
実際に普及したのは357マグナム弾
44マグナムがダーティハリーで有名になったけど、実際に普及したのは357マグナムでした。
357マグナムは拳銃用のマグナム弾です。
S&Wという銃器メーカーが1935年に発売し、非常に成功して世の中に普及しました。
357は強力なパワーを持っており、現在リボルバーの弾薬としては最も人気の高いものの一つです。
357マグナムは基本的にリボルバー用です。
漫画では、シティーハンターの冴羽獠が使っている
コルト・パイソンの弾薬が357マグナムです。
マグナムにはライフル用のマグナム弾もあります。
この記事では拳銃用の弾薬である357マグナムを基準に話をしていきます。
マグナムは強い
マグナムと言えば強いってイメージがあると思います。
概ねそういう意味で合っています。
実はマグナムに定義はなく、かなり曖昧な表現なんです。
例えば、何グラム以上の火薬が入っていればマグナムなのか?
弾薬の持っているエネルギーが何ジュール以上あればマグナムなのか?
これに定義はありません!
製造メーカーが「これはマグナムだ!」って言えば、それはマグナムになる。
マグナムと同じ性能を持っていても、メーカーが「これはマグナムじゃない」と言えばそれはマグナムではない
割とガバガバというかいい加減な感じですね。
また、銃を撃った人が
「なんかマグナムにしては弱くね?」
もしそういう感想を述べたとするならば、どのマグナムと比べて弱いのか?
そこも曖昧になります。
なんというか考えるだけで沼にハマりそうな感じがします。
357マグナムを基準にして考える?
最も普及している357マグナムが一つの基準になると思います。
マグナムという名前を名乗るなら357マグナムと比べてどうなのか。
それがマグナムを定義する一つのやり方なるかと思います。
そもそもマグナムとはワインのボトルサイズを言います。
1,500mLのボトルをマグナムサイズと言います。
銃のマグナム、語源はワインボトルのマグナムから来ています。
マグナムサイズはワインボトル2本分相当の量です。
という事はマグナムは2発分のパワーが詰まった弾薬という意味になりますね
357マグナムは、38スペシャルという弾薬を改良した弾薬です。
38スペシャルは1898年にS&Wが完成させた弾薬でリボルバーで最も普及している弾薬です。
日本の警察も38スペシャルを使っていますね。
357マグナムは、38スペシャルの2倍近いエネルギーを持っています。
ワインボトルの2本分、マグナムの名はハッタリではありません。
38スペシャル2発分だからマグナムだったというわけです。
357マグナムの性能とは?
357マグナムの性能を具体的に他の弾薬と比較しながら見ていきましょう。
具体的な性能を見ていくとマグナムがどういう弾薬なのかが見えてくると思いす。
比較対象は、拳銃用の弾薬である
- 38スペシャル
- 9ミリ・パラベラム
- 45ACP
この3種類です。
9ミリ・パラベラムと45ACPは有名な弾薬で
9ミリ・パラベラムはるがーやワルサー、ベレッタM9やブローニング・ハイパワーで使用されています。
45CPはコルト・ガバメントに使われていますね
38スペシャルはニューナンブやS&W M10などに使用されています。
パラベラムと45ACPはセミオート拳銃用の弾薬で、リボルバー用ではありません。
ムーンクリップという装備を使えばリボルバーでも使えますが話が反れるので割愛します。
そして38スペシャルと357マグナムはリボルバー用なので、基本的にセミオートには使えません。
セミオートでも使えるようにする工夫はありますが説明は省きます。
比較した数値がこちら
弾薬 | エネルギー(J) |
357マグナム | 800~900 |
38スペシャル | 300~400 |
9ミリ・パラベラム | 500~600 |
45ACP | 600~700 |
これはおおよその数値で、バリエーションによって変動するので、あくまでも参考値です。
38スペシャルは300~400ジュールのエネルギーを持っています
表を見れば確かに357マグナムは38スペシャルの2倍、威力がありますね。
357マグナムは800~900ジュールくらいで、かなり強いです。
9ミリ・パラベラムが500~600、45ACPは600~700くらいですね。
45ACPは強力な弾薬として有名ですが、357マグナムはそれよりも強いです。
357マグナムはパワーだけじゃなく、弾速も非常に速いのが特徴
1935年に発売された357マグナムですが、登場した時点で世界最速の弾速を持つ弾薬になりました。
それまではC96やトカレフに使用されていた
7.63ミリ。マウザー弾が最速でしたが、それよりも速いです。
弾速で比較すると
弾薬 | 弾速 |
357マグナム | 400~480m/s |
7.63ミリ。マウザー | 400~440m/s |
こんな感じですね
357マグナムは秒速440メートル以上の速度が出ます。
弾速が速いと、弾道が水平に近くなり、命中精度が上がります。
ドイツのマウザーが作った弾薬は、拳銃もライフルも命中率が高い事で名を馳せました。
特にライフルは、他のライフルを駆逐する性能でした。
これは弾速の速さに裏打ちされた性能ゆえだったのです。
同じように、357マグナムも弾速が速い事によって高い命中精度を持っています。
強力なパワーと弾速を併せ持つのが357マグナムの特徴ですね。
弾速は速いほど命中と貫通力に優れます。
しかし、ソフトターゲットへの殺傷力は弱まってしまいます。
ソフトターゲットとは、主に柔らかい肉体を持つ生物の事を指します。
弾速が速いと貫通力が高まるので、破壊力が最大になる前に人体を通り抜けてしまいます。
人体を効率よく破壊するには、弾速は遅い方が都合が良いのです。
弾速が遅いと言われている45ACPは秒速250~300メートルくらいです。
357だと速すぎるので、人体へのダメージは少なくなります。
ただ、それは弾丸がフルメタルジャケットの場合。
弾丸をホローポイントやフラグメンテーションにすることでこの問題は解決できます。
フルメタルジャケットは硬い金属で覆った貫通力に優れた弾丸のこと
弾丸が固いので、物体に命中しても割れたり欠けたりしにくいです。
障害物に隠れた敵や、防弾ベストを装備した敵に有効です。
ホローポイントは物体に命中した時に変形して傘が開き、貫通力を弱める弾丸の事です。
傘が開くので抵抗値が増してブレーキがかかり、人体内部を駆け巡って凶悪な破壊力を発揮します。
フラグメンテーションは明忠治に弾丸が砕けて人体の中で拡散するようなっています。
弾丸の小さな破片が人体内部の広範囲を破壊します。
ただし、ホローポイントやフラグメンテーションは貫通力が落ちるので防弾ベストで容易に弾けるようになります。
357は非常に強力で、フルメタルジャケットなら自動車のドアも貫通できるパワーを持っています。
もともとそういう目的で開発された弾薬だからです。
1920年代から1930年代はアメリカで禁酒法が施行され
その影響でギャングが横行しました。
ギャングは車のドアに隠れたり、あるいは防弾ベストを着て警察に対抗したのです。
これらの走行を貫通し、ドアの向こうにいるギャングを倒すために協力な弾薬が求められたのです。
1930年代当時、コルトが販売していた
38スーパーという弾薬があります。
この弾薬が自動車のドアを貫通できるものとして警察に装備されていました。
しかし、対抗馬として357マグナムが登場すると、コルトの38スーパーからより強力なS&Wの357マグナムに乗り換えたのです。
357マグナムが普及している理由
357マグナムが普及している理由として38スペシャルとの互換性があるという点が大きい
357マグナムを撃てる銃なら、38スペシャルも撃てます。
最も普及しているリボルバー弾薬である38スペシャルと共有できる点が357マグナムの利点です。
357マグナムの方が大きい弾薬に思えますが38スペシャルと大きさは同じです。
38は薬莢の直径で、357は弾丸の直径を指しており、結局口径は同じです。
日本のニューナンブでも357が撃てるのか?
これに関してはたぶん撃てないと思います。
ニューナンブは38スペシャルをベースに設計されています。
薬莢の長さは357の方が4ミリほど長いです。
ニューナンブの弾倉からはみ出すのではないかと思います。
357の薬莢が長いのは、間違えて38用のリボルバーに装填してしまう事故を防ぐ目的もあるのです。
安全に配慮した設計という事ですね。
357マグナムを撃つための銃として設計されたのがS&W M27です。
1935年に357マグナムとM27が一緒に発売されました。
これは非常に人気を博し、警察や軍隊、民間市場で使用されていきます。
M27はシティーハンターの主人公、冴羽獠が隠し持っている拳銃で、パイソンと弾薬の共有ができます。
コルト・パイソンはいつ発売されたのかと言うと1955年です。
パイソンはコルトの製品ですが、S&Wの357マグナムが世の中に普及しているので、それに合わせて作ったリボルバーになります。
銃弾に合わせて銃器を作る、つまり弾丸を制するメーカーが銃市場を制するというわけです。
かつてのウィンチェスターも弾薬市場を制して大儲けしました。
コルト・パイソンは発売後、警察用の拳銃として採用されていきました。
しかし、セミオート・ピストルが好まれる傾向になってしまい、法的機関の装備としては短命に終わったのです。
以降は民間市場で普及し、人気を博します。
44マグナムについて
マグナム弾の中では、圧倒的に357もシェアが多いのですが、知名度では44マグナムの方が上かもしれません。
特に銃社会ではない日本では、フィクションから知識を取り入れるしかnないので44マグナムの方が有名だと思います。
44マグナムはS&Wとレミントンが共同で開発し、1955年に発売されました。
これと同時に発売したのがS&W M29で、44マグナムを発射するためのリボルバーとして設計されたのです。
M29と44マグナムのセットが映画ダーティハリーで有名になり、世の中に認知されました。
映画はヒットし、それに伴って銃も弾薬も売れるという構造です。
たぶん、S&Wやレミントンも映画のスポンサーになっていたのでしょう。
44マグナムについても少し触れておきましょう。
ダーティハリーで有名にの劇中では、
「44マグナムは最強の拳銃だ」
というセリフが出ていますが
実際、登場した当時は世界最強の威力を持つ拳銃用弾薬でした。
エネルギーは軽く1000ジュールを超えており、アサルトライフルの弾薬に近いパワーを持っています
弾薬 | エネルギー(J) |
44マグナム | 1000~1500 |
アサルトライフルの弾 | 1600~2000 |
M1カービンの弾 | 1300 |
WW2でアメリカ軍が大量生産したM1カービンの弾薬と同等以上のパワーです。
これを使っていったい何を倒すんだろうか?
もうライフルを使えばいいんじゃない?
と思ってしまう威力です、もはや趣味の領域
アサルトライフルに近いパワーをハンドガンで携帯できるというメリットはあるかと思いますが
主に狩猟で用いられており、ホッキョクグマをM29と44マグナムで倒したという記録があります。
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44はやはりリコイルが強すぎるために使いにくく、あまり普及しなかったのですが。
ダーティハリーの影響で普及が進んだりというわけですね
ダーティハリーどんだけヒットしたんだよ。
現在では、44よりもさらに強大な500マグナムなどがあります。
500マグナムは、三八式実包の1.3倍くらい、M1ガーランドの弾薬である30-06とほぼ同等のパワーを持っています。
まとめ
簡単ではありますがマグナムはこんな感じの弾薬です。
マグナムというカテゴリーがあるわけではありません。
製造メーカーがマグナムと名付けるかどうかがマグナムかどうかの基準になります。
俺がマグナムって言ったらマグナムなんだよ!くらいの雑基準ですね
- マグナムの語源はワインボトルのマグナムサイズから
- おおよそ、2倍のパワーを持っている
- 貫通力が高く元々は自動車のドアに隠れるギャングを倒すために作られた
- 44マグナムレベルになると狩猟につかわれたりする。
ではでは(^ω^)ノシ
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