ゆで卵は生卵には戻らないそれが常識とされていますが
実はゆで卵を生卵に戻す事は可能だそうです。
その方法を発見した科学者がイグノーベル賞をとったという話です。
イグノーベル賞はノーベル賞のパロディで「人々を笑わせ、そして考えさせる研究」に対して贈られるものですが
ゆで卵を生卵に戻すというのは普通にすごい事だと思うのですが凄さよりも面白さが目立っている感じでしょうか?
ゆで卵を生卵に戻す方法
ゆで卵を生卵に戻すには
凝固したタンパク質に尿素を混ぜ、過流体装置という特殊な機械で圧力(機械的圧力(せん断応力))を加えたり
高速で回転させたりしてタンパク質を解きほぐしていくそうです。
つまり、尿素を加えて強い力でせん断する事でタンパク質を元に戻す事ができるというわけです。
※せん断とは、物体をずらす方向に働く、入れ違う力を意味します、ハサミなどはせん断を手軽に行える道具
もっと詳しい解説
卵の主成分はタンパク質と水分です。
ビタミンとかミネラルもたっぷり入っていて完全栄養食なんて言われていますがそこは余計なので割愛
生卵は液体の状態ですがこの時、タンパク質は弱い結合でつながっている状態です。
加熱するとその弱い結合がなくなり自由に動き回り
そして他のタンパク質とぶつかって結合していきます。
これがタンパク質が固まる仕組みというわけです。
この現象をタンパク質の変性と言います。
ゆで卵を生卵に戻すにはこの現象を逆に行う事で元に戻る。
ゆで卵に尿素と水を加える。
尿素はタンパク質の結合を弱める働きがあります。
その液体を遠心分離機などで回す
速さは1分間に5000回転、とてつもない速さですね。
遠心力によってタンパク質が伸び縮みしてやがて元の状態に戻るというわけです。
ゆで卵だけではなく全てのタンパク質で同じ事ができます。
ちなみに目玉焼きを生卵に戻す事はできません。
フライパンで卵を焼いてしまうとメイラード反応という科学反応が起きてしまうからです。
タンパク質や炭水化物などを焼いた時に褐色に変化する反応がメイラード反応。
これが起きるとゆで卵と同じようにしても元には戻らない。
2015年カリフォルニア大学の教授がゆで卵を生卵に戻すレシピを開発し受賞
カリフォルニア大学アーバイン校のGregory A. Weiss教授らのグループがゆで卵を生卵に戻すレシピを開発した業績によってイグノーベル賞を受賞しました。
生物学的なタンパク質のリフォールディング技術を確立しました。
リフォールディングというのは変性させたタンパク質を活性のあるネイティブ構造へと巻き戻す方法の事です。
タンパク質の変性を元に戻す方法は他にもあるが従来の100倍以上の速さで元に戻る。
これは画期的な事です。
内容はバカバカしいものが多いイグノーベル賞ですが、かなりマジメというか将来性のある研究論文です。
タンパク質の変性を元に戻すという技術は医療などで役に立つ可能性があるそうです。
医療の発展に役に立つ?
医薬品の開発には特殊なタンパク質が使われる事がある
開発や製造に必要なタンパク質は遺伝子組み換えなどを利用しているがお金がかかる
ぶっちゃけかなり高い
ゆで卵を生卵に戻す技術を応用する事で安く、医薬品用の薬を開発、製造できるかもしれません
ではでは(^ω^)ノシ
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