柔道と柔術は感じが似ていて剣道と剣術くらいの感じで受け止めている人がいたり
日本の柔道とブラジリアン柔術の事だと思っている人もいたりします。
部分的には合っていますし、部分的には間違っているという感じでしょうか?
一つ一つ、疑問を解消していこうと思います。
柔道と柔術どちらが先にあったのか?
この疑問に答えるのは簡単で柔術が先
柔術というのは最近の言葉で昔は柔と言われるのが一般的でした。
戦場の組討術として発展した武術です。
つまり、槍や刀が使えない接近戦で戦うための技術になります。
鎧武者相手に殴って蹴っても仕方ないので投げや関節技、寝技が発展していく事になった。
古流柔術には当身(打撃)もあるが現代では失伝していたり、残っていても競技人口が少ない
柔道は明治時代に生まれた
柔道が生まれたのが明治時代、嘉納治五郎という人が柔術をいろいろ学んで作ったのが講道館柔道です。
日本の柔術で現代に残っているのは大東流合気柔術、つまり合気道ですね。
講道館柔道を習った人が外国で別の格闘技として発展させたのが
ブラジルのブラジリアン柔術
ロシアのサンボ
なんかは影響が色濃いと言えます。
現在ではオリンピック競技にもなっている
以前、日本は強豪国です。
日本が強すぎるからとルールの改定があったほどです。
警察官は柔道と県道を必ず習う必須武道。
柔道の基本的なルール
【試合時間】
男女共に4分間。【試合の決着】
試合時間4分間で
・「一本」を取った場合
・「技あり」を2回取った場合(合わせ技一本となる)
・試合終了時に「技あり」のスコアで差が出た場合
・相手選手が軽微な違反により「指導」を3回受けた場合(累積による反則負けとなる)
・相手選手が負傷等により棄権した場合
・相手選手が危険行為等を行い「反則負け」となった場合試合時間4分間で勝敗が決着しない場合は、ゴールデンスコア方式による延長戦を時間無制限で行い、どちらかの選手が「一本」か「技あり」あるいは、「反則負け」となった場合に勝敗が決着します。
高専柔道
旧制高等学校・大学予科・旧制専門学校の柔道大会で行なわれた寝技中心の柔道の略称。1898年(明治31年)、東京の第一高等学校と仙台の第二高等学校の柔道部の間で行われた対抗戦に端を発する
講道館柔道との違いは寝技で膠着状態になっても「待て」が掛からない
寝技への引込が許されています。
寝技が中心になったのは、高校から初心者として初めた若者にとって、才能の差に左右される立ち技よりも寝技の方がとっつきやすかったという話らしい
その結果、寝技の練度が凄まじいものになったと言います。
七大学柔道として大会が開かれていたりします。
古流柔術
戦場の組討術を江戸時代、各地の藩で発展させている。
これは剣術と同じですね。
江戸時代初期に禅の思想や中国の思想、医学などの影響もあって
力づくで投げたり殴ったりするわけではないという意味で柔術、柔道、和、やわらと称する流派が現れ始める
有名な流派
- 関口新心流
- 楊心流
- 起倒流(良移心当流)
- 小栗流
- 良移心當流
などなどいろいろな流派が生まれた。
下級武士や農民が習った柔術もあれば藩の秘伝、御留流として扱われたものある。
ブラジリアン柔術とは?
ブラジリアン柔術の始祖は前田光世という人物で
講道館柔道7段の腕前でした
彼は渡米してレスラーと試合をしたりスペインではコンデ・コマというリングネームで活動していた人物
前田光世はブラジルでスコットランド系移民をルーツに持つガスタオン・グレイシーという人物に
自分の息子たちに柔術を教えてくれと言われ教える事になる
これが後のグレイシー柔術で一般に広まりブラジリアン柔術になった。
前田光世という人物が海外の試合経験と柔道の技をミックスして作った柔術でありブラジルで広まった。
古流の柔術とは別物と考えてほしい
ブラジリアン柔術の基本的なルール
試合の勝利条件:関節技、絞め技による決着か試合の時間内で多くのポイントを取る事。反則は減点される。
危険な反則行為をすれば反則負けになる。
ポイントは
- 1ポイント・・・アドバンテージ、技がポイントまでには至らないが有効であったと判断されると1点
- 2ポイント・・・テイクダウン、立っている状態からタックルや投げで転がして地面に3秒以上キープ
- 2ポイント・・・ニーオンベリー、倒れた相手の腹に膝をのせて3秒以上キープ
- 2ポイント・・・スイープ、ガードポジション(下)にいる選手が攻守交代し、トップポジション(上)をとり3秒以上キープ
- 3ポイント・・・パスガード、上の選手がガードポジション(下)にいる選手に対して両足を超えて横もしくは頭上から3秒以上抑え込む
- 4ポイント・・・マウントポジション上の選手が下の選手に対して馬乗り状態になる。仰向け、うつ伏せ、横向きすべて有効
- 4ポイント・・・バックコントロール、背後から両足、内腿に足を絡め3秒以上キープ。ちなみにこのとき両足を絡んではいけません。
サンボ
サンボは柔道の影響を受けていると言われています。
ロシアの国技ですが元々は帝政時代、サハリンから神学生として日本に渡り、講道館にて嘉納治五郎のもとで柔道を学んだワシリー・オシェプコフが広めた説
ワシリー・オシェプコフは1937年にスターリンの大粛清で容疑がかかり、日本のスパイとして投獄され、獄中で病死しました。
もう一つは帝政ロシア軍人であったビクトル・スピリドノフがボクシングと柔術をもとに独学で編み出した格闘技
1930年代に体系化したと言われています。
サンボのルール
試合はレスリングマットで行われる
投げ技と寝業でポイントが加算。
一本勝ち以外は、試合終了時点での点数で勝敗が決します。
ちなみに関節技は、ポイント加算がないかわりにギブアップで一本勝ちです。
柔道とブラジリアン柔術は両立する?
結論から言えば柔道の技術がブラジリアン柔術で使えるし
ブラジリアン柔術の技術が柔道でも使える場合がある。
ルールの違いはあれどルーツは同じだから互換性は高い
オリンピックに出るような柔道選手がブラジリアン柔術の稽古を少ししたとして
それだけでも強いと思う。
高専柔道みたいなジャンルもあるわけだから互換性がないという事はありえない
柔術と柔道 どっちが強い?結論は?
こういう議論は正直、頭悪いと思ってしまう。
柔術や柔道、ブラジリアン柔術にサンボ
どれも思想が違うためにルールが違ったりするけれど
基本的に欠陥があるわけじゃない
技術体系に無駄があるわけじゃないからどっちが強いかみたいな議論になった時
技量が高い、強い人が勝つとしか言えない。
ルール無用だと当身がある古流柔術が強いかもしれないし
ルールがあれば洗練された柔道が強いかもしれない
ルールが変われば勝ち負けも変わってしまうかもしれないし、ルール無用だと異常に強い武道もあるかもしれない
明治18年の警視庁武術大会で柔道が諸流柔術に圧勝したという話もありますが
当時の状態を考えれば必然と言えます。
日本各地から優秀な人間を集めてガツガツ乱取りさせていますから
型稽古が中心だったり乱取りの相手が少ない流派では勝つのが難しいというだけです。
まとめ
柔道と柔術の違いとは
- 柔術・・・・・・・・・・戦場の組討術が江戸時代に昇華された体術でありいろいろな流派がある
- 柔道・・・・・・・・・・嘉納治五郎という人物がいろいろな柔術を研究し生み出した武道が講道館柔道
- 高専柔道・・・・・・・・七大学柔道とも呼ばれ寝技に特化した独自の柔道
- ブラジリアン柔術・・・・講道館柔道を習った前田光世という人物が武者修行をし、その技をグレイシー一族が習い広まったのがブラジリアン柔術
- サンボ・・・・・・・・・ロシアの国技、創始者に講道館柔道を習った人物がいたり、柔術の影響がある
共通点はどれもジャケットを着て行う競技である事。
着衣の掴み方などは共通であると言えます。
ではでは(^ω^)ノシ
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