武道の身体操作というのはスポーツと違って体を捻ったり力を溜めたりしないと言われています。
筆者が考察するに武道とスポーツで筋肉の使い方が違う。
古武術、古武道の身体操作は超効率主義である。
スポーツはサッカーや野球、バレーボールなどでもそうだけど体をダイナミックに使うし相手に気づかれないように動くという発想がない。
武道では相手がこちらの動きを察知して守ったり攻撃したりする。
そのセンサーを掻い潜る必要がある。
そのためには捻ったり力を溜めたりする事を察知されないようにする。
武道の動きは捻らない
古流の武道なんかは腰を捻ったり力を溜める動作はない。
力を集中させると故障の原因になるし、一部分を大きく動かすというのはテレホンパンチになるからだ。
体を捻ったりするよりも筋肉の連動が重要になる。
スポーツ的な捻る動きというのは体の負担が大きいから年齢を重ねると再現が出来なくなる。
全身の筋肉を連動させる動きは練習を重ねる事で高齢者でも可能。
走るにしても日本古来の走法を調べると重心移動や全身の連動を重視している。
スポーツの動きは大きく体を捻ったり力を溜めたりするがそれは体の一部に負担がかかるため怪我をしやすいし効率が良くない
一部に負担を強いる体の使い方よりも体全体を使って運動する。
無駄な動きを極力排除していくのが武道。
例えば小学校の体育で走る時に腕を早く振るように指導されたりしますが
果たして腕を早く振る事で足が早くなるのだろうか?
腕と足、正確には肩甲骨と骨盤は連動しているが腕をどう振るのか
省エネでなおかつ早く走るにはどうすればいいのか?
みたいなのを突き詰めると武道的な身体操作に行きつくわけです。
鍛錬の鍛と錬は別物?
鍛錬なんて言葉を武道じゃ使うけど鍛と錬は別の意味があるのではないだろうか?
鍛えるというのは分かりやすく言えば筋トレみたいなもの重い物を持ったり体に負荷を与えて強くするトレーニング。
では練は?
練は体の動かし方のトレーニングであると考えると納得できるのではないだろうか?
つまり、体を鍛えるのと体を上手く使うのは別
筋トレなんかは良い例で筋肉を鍛えるためにわざと効率の悪い動きをしている。
個別の筋肉を強くしたりストレッチで柔らかくしたりするのは鍛
強い力が出せるように筋肉が太くなるし持久力もつくけど筋肉を連動させる練習をしないとスポーツや武道には生かせない。
筋肉を使って骨を正しく動かす必要がある。
ある程度、体が強くなったら練が必要になる。
全身の筋肉を連動させる。
例えば歩く時に複数の筋肉を使う事で脚を大きく動かす事なく早く歩く事ができます。
筆者は早く歩く時、足を前に出すと同時に足と同じがわの肋骨を前に出しつつ前に出した足と同じがわの肩甲骨を下に下げる
歩くという動作だけど研究すれば骨盤や肩甲骨など連動させる事で傍目には小さい動きだけど素早くて速く、強い力が出せます。
また、一部の筋肉が頑張るよりも全身の筋肉をいっぺんに使った方が強い力が出せる。
例え150kgのバーベルを持ち上げる事が出来る重量挙げの選手であっても
小指を掴まれて全身の筋肉を使えない状態なら
全身の筋肉を連動させた女性に負けてしまう。
つまり、武道の身体操作というのは如何にして全身の筋肉を使うかというのが基本にして奥義である。
小さい動きで強い力を出す
武道とスポーツの違いはより小さい動きで大きな力を出す事を武道では追求する。
漫画とかで武道の達人が何気ない動きで敵を打ち倒してしまう描写があるけど
武道の身体操作が目指すのはそういう動き。
問題はそんな事が出来るのか?という事。
単純に腕を前に出すだけのジャブであっても素人と達人では体の動きが違う。
同じように見えてもしかしたら上半身の筋肉や下半身の筋肉を数ミリずつ動かしているかもしれない。
同じ動作であっても全身運動にしてしまうと疲れにくく器用に動かせる。
なので練度によっては力の入ってない軽い動きであっても強い力が出せるし疲れにくい。
筋肉の連動が重要。
手足よりも体幹が大事
手足よりも体幹が大事。
体幹の深い筋肉を鍛えて使えるようになると動きにバリエーションが生まれる。
筆者は小学校から剣道をやってましたが体幹の筋肉、特に肩甲骨や骨盤、仙骨周辺を動かせるようになって動き方を考えながら体を動かせるようになった。
単純に左足で地面を蹴るというのは相手に察知されやすい。
筆者が巨漢であるため予備動作が大きくて先手が取れなかったのだが
今では左足と左の肩甲骨を連動させて動いたり
骨盤を下に動かした勢いで地面を踏んで動けたりといろいろできるようになった。
傍目から見れば何も変わらないくらいの身体操作だ。
体幹を使う事で大きな筋肉を中心に動かせたり
手の動きに体幹を連動させたりできるから効率は良い。
型を重視する理由
技の精度を高めるためにも型は有効だけど
技を通して体の使い方を学ぶ
型のままでは基本的に実戦では使えない事が多いが技を通して筋肉の連動を学びより効率的な運用方法を構築していくために型を練習するのだとしたら
初心者と上級者では傍目から見ると同じ動きでも筋肉の使い方が全く違う。
筋肉をどこから動かすのか?
何故、こういう動きをするのか?
肉体と対話しながら型稽古をする事が武道の身体操作を身につけるコツ。
まとめ
武道の身体操作はスポーツのように体を捻ったりしない
正しくは負担が一部に集中するような体の使い方はしないというのが正しい
全身の筋肉を連動させる事で強い力を発揮する。
非常に難易度が高いけど、連動させる事が出来れば筋トレばっかりしてる大男にだって負けない。
とは言え、筋トレして筋肉を太くする事も大事なんですけどね。
体を鍛え、体を練る事で武道の身体操作が身につく。
千日の稽古をもって 鍛となし、 万日の稽古をもって 錬となす
宮本武蔵の言葉ではあるけど
鍛えるのは簡単だけど練るのは10倍時間かかるという解釈も出来ます。
武道という学問は奥が深いですね。
ではでは(^ω^)ノシ
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