五輪書でフットワークは爪先を浮かせてかかとを強く踏むべしと書いてあります。
現代語訳ですが大体、そんな事が書かれています。
ネットを調べても本を読んでも実際にやってみた人がいないので実践してみました。
やってみましたがとんでもなく素早く動けます。
今までつま先で地面を蹴って前に進むという行為がバカバカしいというか無駄の多いやり方である事がよく分かります。
端的に例えるなら思考と動作にタイムラグを感じない。
五輪書原文
足のはこびやうの事、爪先を少しうけてきびすを強くふむべし。足づかいは、ことによりて大小遅速はありとも常にあゆむが如し。
足に飛足、浮足、ふみすゆる足とて、是三つ、嫌ふ足なり。此道の大事にいはく、陰陽の足と云ふことあり。是れ肝要なり。陰陽の足とは、片足ばかり動かさぬ物なり。
きる時、引時、受る時までも、陰陽とて右左ゝゝとふむ足なり。返すゞゝ、片足ふむことあるべからず。能々吟味すべきものなり。
現代語訳
フットワークは足の爪先を少し浮かしてカカトを強く踏む。フットワークは時と場合によって大きく動いたり小さく動いたり、遅く動いたり早く動いたりするけど
常に歩くように動かす。 やってはいけないフットワークは3つあり地面を蹴って飛ぶように動かす事、つま先だけ立つ事、腰を落として踏みつけるのはダメ
兵法の大切なことに『陰陽の足』という教えがある。これは当流(二天一流のこと)にとっても重要なことだ。
陰陽の足使いとは、片足だけで踏み込んでははならないということだ。
斬る時、引く時、刀を受ける時でも、陰陽の両極を交互に渡る様に、右左右左と踏んでいく。何度も言うようだが、どちらかの片足だけ中心にして、スキップを踏むような足運びをしてはならない。良く吟味して欲しい。
爪先を少しうけてきびすを強くふむべし解説
実際にやってみれば分かりますが、足の指を地面から離して踵で地面を押す
足を肩幅くらいに開いて自然体で立って軸足の指先を離して踵で強く地面を押してください。
反対の足も足の指先を浮かしておきます。
百聞は一見にしかずと言いますが文章だけではなく実際にやってみるとより分かりやすいです。
スマホでこれを読んでいる方は一旦、スマホから目を離して周りを確認して確かめてください。
では、やってみてください
・・・・・どうですか?
つま先で地面を蹴った時と比較するとかなり素早く動けたはずです。
注意深く体を観察すると脚の裏側にある筋肉、お尻からハムストリングスの大きな筋肉を使っている事が分かるはずです。
この歩き方で2~3歩歩くとかなり軽いジョギングくらいのスピードは出ます。
足に飛足、浮足、ふみすゆる足
飛足はつま先で地面を蹴って飛び上がる事。
ジャンプする時に使う筋肉、ふくらはぎが収縮するし大腿四頭筋が働いてブレーキがかかる。
相手から見れば体が上下に動くしブレーキがかかるから遅いし無駄の多いフットワーク
つま先を立てて地面を蹴るように力を入れると大腿四頭筋というブレーキ筋であり前に進む時には使ってはいけない筋肉です。
つま先立ちで地面を蹴るというのは利き足で踏ん張れば止める事ができるけど踵で地面を押すと利き足で踏ん張っても前に体が動く
浮足とはつま先立ちで空手とかボクシングなんかにあるピョンピョンと跳ねる足さばき
あれは軽快に足を動かしているいるけど、とっさに動くという事ができない。
武道の言葉でいうと居着くという感じになる。
常に前後に動いてるからとっさに体の向きを変えたりできない。
前後に動いていた時に発生する運動エネルギーはなくなったりしないし。
ふみすゆる足は腰を大きく落として踏み込んではいけないという教えです。
腰を落とすというのは大きなスキになる。
実践してみれば分かりますがどれもこれも動きにくいというか五輪書に書いてある方法を知ると疲れるし遅いと感じてしまいます。
陰陽の足
普段、我々が立って歩く時に軸足を固定し前に踏み出す足がある。
左足を軸にして右足を前に出すのが普通。
2歩目からは右足で踏み込んで左足を前に出すから陰陽の足になるんだけど最初の一歩は難しい
先程、やったように軸足のつま先を浮かして踵で地面を強く押すように歩くと左、右と順番に動かす事になります。
常に軸足と利き足を殆ど同時に使う事で素早く動ける。
現代剣道の足さばきと違う?
剣道の足さばきは右足を前にして左足を後ろにして
左足はつま先立ちになるという五輪書とは違う感じになっていますが
それは五輪書の否定ではない、此道と書かれているように当時の剣術では一般的な知識というか
剣術道場の師範代なら当然知っている知識なんだと思います。
江戸時代になり剣術は磨かれていったから進化する事はあっても退化する事はあり得ない。
ただ、秘伝や奥義に該当する知識であるため失伝している可能性がかなり高い。
大正・昭和期の柳生新陰流の第二十世宗家、柳生厳長先生が『剣道八講』という著書で、現代剣道を批判している部分がありますが
- 飛び跳ねる
- つま先立ちになる
-
斬る時、引く時などは、足を交互に踏み換えてつかう。
という三点を批判しています。
しかし、全くの見当違いというか実践してみれば一目瞭然というか。
発想の転換が必要なんだと思います。
というのも剣道の先生に左足をつま先立ちにする理由を明確に説明できる人って少ないというか殆どいないんじゃないかと思います。
五輪書の理屈と全く同じ理論で運用すると分かります。
左足の踵で地面を押すようにすると・・・・・ここからは別の記事で詳しく書いたので最後に紹介します。
歩くようにとは?
ことによりて大小遅速はありとも常にあゆむが如し、書いてありますがあゆむがごとしってナンノコッチャ
@kesuikemayakuの私見ですが姿勢を崩さないという事です。
ジョギングをすると体が激しく上下し手を大きく振っています。
これがダメ、体の上下や肩の上下は剣筋の乱れに繋がります。
野球やゴルフなどの球技においてもボールを打つ時、体を上下させる事はご法度だし。
テニスやバトミントンだってなるべく姿勢は安定させた方がいい。
早く動くけど体はなるべく上下に動かさない
刃筋を立てて切るには常に歩いている時のような姿勢の安定感が必要という事ですね。
まとめ
五輪書に書かれている足さばきのやり方って実践的でつま先で地面を蹴る西洋的な体の使い方が馬鹿らしくなるレベルです。
軸足と利き足、両方の踵を強く踏む事で素早く動けます。
やり方をまとめると
- 自然体で立つもしくは前後に軽く足を開く
- 両足のつま先を少し浮かせる
- 軸足→利き足の順番で踵を使って地面を押す
- 素早く動ける
こんな感じです。
ではでは(^ω^)ノシ
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